第2年:イタリア
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《第2年:イタリア》(Deuxième année: Italie, S.161)は1838年より作曲が開始され、1858年に出版された(ただし第3曲を除いて1839年にはほぼ完成していたようである)。マリーを伴ってイタリアを旅し、絵画や文学など数々の芸術に触れた印象を音楽としてしたためたものである 婚礼 Sposalizio:ホ長調ラファエロの「聖母の婚礼」による。終結部のフレーズはドビュッシーの《アラベスク》第1番を予感させる。 物思いに沈む人 Il penseroso:嬰ハ短調ミケランジェロの彫刻による。巡礼の年2年には珍しいほどの大変暗い雰囲気の曲で、後のラヴェルの「絞首台」を思わせるようなオクターヴによる重々しい同音による連打音が印象的である。1866年に管弦楽曲「3つの葬送頌歌 S.112」の第2曲〈夜〉へと改作。 サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ Canzonetta del Salvator Rosa :イ長調伴奏風の部分と、歌の部分をピアノで演奏する形をとる。前曲とは全く対照的な、明るく活発で、親しみやすい雰囲気。ここで掲げられているサルヴァトール・ローザの詩は、現在ではボノンチーニ作とされている。 ペトラルカのソネット第47番 Sonetto 47 del Petrarca:変ニ長調劇的表現力が問われる曲で甘い旋律が続くがその旋律の中に情熱が秘められている。 ペトラルカのソネット第104番 Sonetto 104 del Petrarca:ホ長調劇的要素のある曲で3曲あるペトラルカのソネットの中で最もスケールが大きい。劇的表現力が要求される。甘いなかにも情熱を秘めた旋律が続き哀愁を伴う。 ペトラルカのソネット第123番 Sonetto 123 del Petrarca:変イ長調他2曲に比べると静かな印象のある曲だがやはり静かな中にも情熱がこめられている。 第4曲から第6曲までの「ペトラルカのソネット」は、歌曲集『ペトラルカの3つのソネット』第2稿をリスト自身がピアノ編曲したもの。ソネットの番号は、ペトラルカの詩集『カンツォニエーレ(イタリア語版)』に収録されているものとは実際には少しずれている。 ダンテを読んで:ソナタ風幻想曲 Après une Lecture du Dante: Fantasia quasi Sonata:ニ短調-ニ長調他6曲に比べ遥かに規模が大きく演奏時間約17分に及ぶ大作。《ダンテ・ソナタ》とも呼ばれる。リストの中でも演奏が大変難しいことで知られ難曲のひとつでもある。1839年には既に演奏された記録があり、2部からなる〈神曲への序説〉という題を付けていた時期もある。標題自体はユーゴーの詩集『内なる声』の中の一篇からとられており、ダンテの『神曲』より「地獄篇」のすさまじい情景を幻想的に描き出している。「音楽の悪魔」の異名を持つ三全音が冒頭で用いられているが、これはまさに地獄を音で表現したものといえる。
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