秋扇湖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/19 03:50 UTC 版)
鎧畑ダムによって形成された人造湖は完成より長らく鎧畑貯水池と呼ばれていたが、1987年(昭和62年)に一般公募によって秋扇湖と命名された。名の由来であるが、ダム下流にある秋田県内の受益地が扇形の範囲であることと、水没した集落に扇ノ又集落があったことからそれらを総合して命名された。完成以後秋田県における最大規模の人造湖であったが、玉川ダムの完成によりその座を明け渡している。地図で見ると玉川ダムの人造湖・宝仙湖が巨大なため小さく見えるが、貯水池の規模としては完成した秋田県内のダムでは2015年(平成27年)現在第三位の貯水容量を誇る。 秋扇湖の特徴としては、湖水がコバルトブルーと独特の色になっている。これは玉川の酸性水を中和するため源流部で石灰による中和を行っているためで、玉川ダム完成前は秋扇湖において事実上河川水の中和と撹拌を行っていたため、石灰の成分が混ざってコバルトブルーになっている。現在は宝仙湖で中和・撹拌を行っているが、宝仙湖もやはり同様の色調である。しかし水質については良好で、2006年(平成18年)に環境省と秋田県が発表した日本全国の河川・湖沼・海域水質調査において調査した全国180水域において最も良好な水質であることが判明した。また、完成から50年以上を経過した鎧畑ダムのコンクリートやゲートは、酸性水の影響を受けていない。これは玉川の水質が改善したこともあるが、建設当時に貯水池のpHを3.5に想定して施工を工夫、コンクリートは酸に強い50:50高炉セメントを使用し、ゲートは巻き上げ式として巻き上げ用のワイヤーは湖水に触れない設計を採用。また湖水に接触するが交換不可能な部品は全てステンレスとするなど耐酸対策を万全にしたことも好影響を与えている。 鎧畑ダム・秋扇湖へは公共交通機関を利用した場合JR田沢湖線・秋田新幹線田沢湖駅より羽後交通バスで「鎧畑」行きに乗り、「鎧畑ダム入口」停留所下車後管理事務所方面へ徒歩約30分で到着する。玉川ダム・玉川温泉行きの急行もあるが期間限定なので利用する際には運行確認が必要。車では東北自動車道盛岡インターチェンジより国道46号を西進、または秋田自動車道大曲インターチェンジより国道105号経由で国道46号を北進し何れも田沢湖方面へ向かい、その後国道341号を玉川温泉方面へ進み鎧畑発電所が見えたら橋を渡らずに直前で左折、そのまま直進すれば到着する。国道よりダムまでは道路が狭隘なので玉川に転落しないよう注意する必要がある。春先の融雪期には豪快な放流を見ることが出来る。
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