礻と示
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 23:56 UTC 版)
筆記体である楷書では示偏の「示」を崩して「礻」の形とする。一方、印刷書体である明朝体のうち康熙字典体は篆書体に従い、これを「示」に戻した。日本の印刷書体では戦後の新字体において「礻」形が採用された。しかし、これは常用漢字表内のみの適用であり、表外字については規定がなかったので、「示」にしたり、「礻」にしたりする混乱が起きた。特に祇園の「祇」、苗字に多い「榊」(別の部首に属するが構成要素に示偏を持つ)でよく混乱が起きている。そこで2000年の「表外漢字字体表」において表外字は基本的に康熙字典体に従うことが決められた(ただし「礻」も許容字体(いわゆる3部首許容)とされたので、「礻」形で印刷したからといってこれを間違いとするものではない)。「神」「祥」「福」「社」「祉」「祈」「祐」「祖」「祝」「禍」「禎」の11字は、偏を「示」の形に変えただけで旁を同じくする旧字体が人名用漢字に含まれている。旧字体を天孫降臨以前の国津神に新字体を天孫降臨後の天津神とかけて、上記11字の旧字体も地の神が人々にもたらす行為という意味もある。(例、示土は古代から日本人が大切にしてきた習俗の農耕神を祀る土の柱。社は天から神が降臨する場所。)字形は祖先を祀る祭卓という成り立ちは変わりないので新旧字体の違いで認識されている。 崩された示偏は片仮名の「ネ」の元になったとされている。neと発音する「祢」の偏から来ている。 中国の新字形、台湾の国字標準字体、香港の常用字字形表では示偏をすべて「礻」形に統一している。コンピュータ上でWindowsが装備するフォント細明體・新細明體 (PMingLiU・MingLiU) は5.03版以降でないとこれに対応しておらず、それ以前の版では「示」形で表されている。 UnicodeのCJK統合漢字、JIS X 0208では、偏部に「示」を持つ漢字は、全て「示」の形と「礻」の形は包摂されており、示偏の形の違いのみで分離されているものは1字も無い。JIS X 0213では、前述した人名用漢字で区別されている11字は包摂分離され、「示」の形の方が、新しいコードポイント(第3水準)に追加され、従来のコードポイント(第1水準)の方は、「礻」の形の方のみを示すようになった。ただし、Unicodeでは、日本だけのために今更包摂分離するわけにはいかないので、CJK互換漢字に新しいコードポイントの方に対応するものが追加された。
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