痛風の原因物質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 16:04 UTC 版)
ヒトではURAT1と呼ばれる尿酸トランスポーターにより近位尿細管で多く(約80%)が尿中から回収される。ヒトの血液中では尿酸濃度は3.6から8.3mg/dLである。菜食主義者は尿酸値が低いという報告がある。血中の尿酸濃度が高くなる病気に高尿酸血症がある。尿酸は、水への溶解度が低いことから、低体温箇所で結晶化しやすくなり、これが痛風などにも関連する。痛風発作は尿酸ナトリウムの針状結晶によって引き起こされる。X線回折法により痛風患者より得られた針状結晶は尿酸水素ナトリウムの結晶であることが確認された。血液中の尿酸濃度はUAという略号で表されることが多い。 過剰な尿酸は、血管に炎症をもたらすことが近年の研究で判明しており、高尿酸血症は放置すべきではないとの論調が主流を占めつつある。またインスリン抵抗性やメタボリックシンドロームは血中尿酸値を上昇させ、悪影響を来すことも研究がすすみつつある。 活性酸素と尿酸は、互いを打ち消しあう作用を持ち、どちらかが多すぎても少なすぎても、酸化ストレスや炎症をきたすことが示唆されている。そのため、低尿酸血症も高尿酸血症も医療の介入が必要であると考えられている。 1日に体内で産生される尿酸は約700mgで、その約3分の1は食事由来である。尿酸の排泄の約3分の2は腎臓を経て尿に、約3分の1が腸管から排泄される。腎臓は尿酸の90%を再吸収し、約10%を尿に排泄する。腸内のプリン体は腸内細菌に取り込まれDNA合成に利用され腸管内のプリン体が減少する可能性が指摘されている。ヒトにラクトバチルスガセリPA-3を含むヨーグルトを連日摂取させたところ血清尿酸値の低下が認められた。これは菌体がプリン体を取り込むことによるヒトの体内への吸収抑制によるものであることが推察された。 血液検査の参考基準値項目被験者のタイプ下限値上限値単位備考尿酸 0.18 0.48 mmol/L 女性 2.0 7.0 mg/dL 男性 2.1 8.5 mg/dL
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