病状の悪化と霊性の高まり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/26 08:01 UTC 版)
「ラファエル・アルナイス・バロン」の記事における「病状の悪化と霊性の高まり」の解説
1937年1月マリア・ラファエル修練者の病状は再び悪化した。修道者として働くことができず、終日病室において起居する日々が続く。この中で、彼の霊性は極限にまで高められていく。 彼の内省の軌跡は、「私のノート」と題された一連の文書と伯父、両親への書簡に残されている。聖者マリア・ラファエルの聖母マリアへの賛美とトマス・ア・ケンピスのキリストに倣いてへの省察は、病の中で着実に深められていった。 1937年2月マリア・ラファエルは、自宅に帰された。アビラの自宅で、絵筆をとり、いくつかの作品を残しつつ、修道院への帰還を望んでいた。 1937年12月彼は、修道院に戻った。すでにマリア・ラファエルは、病室で起居する身であった。1938年4月13日彼はこのように記している。 無用な自分のことを考えるとき、本当に恥じ入る。神に対してすべきことはたくさんあるのに、祈りも黙想も読書もよくしない。仕事といえば、ほとんどしない。食べて寝る。動物のように食べて寝る以外はしない。このように続けられないし、続けてはいけない。しかし、どうしたらよいのか。無用で病気であるあわれなラファエル修道士よ、各瞬間に意向を確かめ、神を愛し、すべてを愛によって、愛をもってすればよいのだ。(中略) 主よ、もうやっているのですが、下手にやっています。謙遜がない。自分の思い通りにしたい。苦行のときにも自分の意志を探している。神よ、あなたのみ旨を果たせるように助けてください。自分の弱さと無用さを持ちながら、あなたに仕えることができるようにしてください。 大修道院長は、彼に司祭となるためのラテン語と典礼の勉強をすすめた。生きる希望を与えるためである。マリア・ラファエルは、司祭はおろか、自分が献身者から、元の修練者として修道士の誓願を立てる可能性もないことを自覚していた。大修道院長の「司祭にはなりたくないですか」という問いに彼はこう答えている。 大院長様、どうでもいいです。トラピスト修道者でありさえすれば、叙階されても、されなくてもけっこうです。
※この「病状の悪化と霊性の高まり」の解説は、「ラファエル・アルナイス・バロン」の解説の一部です。
「病状の悪化と霊性の高まり」を含む「ラファエル・アルナイス・バロン」の記事については、「ラファエル・アルナイス・バロン」の概要を参照ください。
- 病状の悪化と霊性の高まりのページへのリンク