病理外注と診療報酬評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 08:36 UTC 版)
2008年4月の診療報酬改定に伴い診療報酬領収書に病理診断の欄が追加された。同時に病理診断科が標榜診療科入りしたので、多くの医療施設では、病理診断科が用意され、常勤または非常勤の病理医が所属することになる。病理診断について、診断を担当した病理医からも説明が聞けるようになった。クリニックや病床規模の小さな医療施設では病理検査室を用意することは非効率的で現実的ではない。病理診断科に病理診断(標本作製と病変診断)が委託されるのが本来の姿である。2008年3月時点では、病理検体の多くが登録衛生検査所で標本作製され、登録衛生検査所の検査報告書として、病理診断結果が返されている。検査所は医療機関ではなくしたがって病理診断(病変診断)はできないので病理医に病理検査報告書作成を委託している。 医療施設が病理医を雇用せず、標本作製とともに病理観察を検査所に外注した場合は、病理医の病理標本観察(ドクターフィー部分)について、診療報酬による評価がない。診療報酬は文字通り「診療」がなされた場合に支払われる制度であるため、検査所が受託する病理診断については、診療報酬による評価はできないのである。 病理診断科を標榜し、病理診断管理加算2を算定する医療施設において、生検材料や手術で切除されたホルマリン固定材料を検体検査として、医療機関外に外注し、返ってきた病理検査報告書内の病理所見について、常勤病理医のレビューを経て正式な医療施設の病理診断報告書とすることは可能である。過去には医療機関内にその臓器の病理診断を専門とする病理医がいない場合に行われていた方法であり違法とは言えない。しかし、最近はこの方法を用いて、検査所へ安価に外注して院内検査コストを削減し、検査差益を得て、常勤病理医による病理診断料と病理診断管理加算を得て、経営に資することが目的となっている場合がある。(この場合の診療報酬返戻については厚生局に確認ください)
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