略訳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 16:28 UTC 版)
一、この食事がどうしてできたかを考え、食事が調うまでの多くの人々の働きに感謝をいたします。 二、自分の行いが、この食を頂くに価するものであるかどうか反省します。 三、心を正しく保ち、あやまった行いを避けるために、貪など三つの過ちを持たないことを誓います。 四、食とは良薬なのであり、身体をやしない、正しい健康を得るために頂くのです。 五、今この食事を頂くのは、己の道を成し遂げるためです。 宗派によって偈文の読み下しに若干の異同があり、臨済宗、黄檗宗では三句目を「三つには心を防ぎ過貪等を離るるを宗とす」と唱える。「貪等」とは三種の煩悩である「貪・瞋・癡」のいわゆる「三毒」を指す。これらはそれぞれ「貪欲」「怒りや憎しみ」「無知や愚かさ」を意味し、食においてはいたずらに美食や暴食する貪欲、食に嫌悪や不満を発する狭量、食の意義や作法を弁えない愚昧を戒める。 数多くの解釈があるが、曹洞宗の公式な資料としては曹洞宗宗務庁教化部刊行『曹洞宗青年聖典』 の解説、また成立の経緯や、偈文の意図を平易に説明した江戸中期の面山瑞方著『受食五観訓蒙』等がある。 なお、道元の師匠筋にあたる栄西の著した『出家大綱』正治2年(西暦1200年)には別バージョンの五観の偈の記載がある。 一観物功多少 (一には物の功の多少を観ぜよ) 二観己徳厚薄 (二には己の徳の厚薄を観ぜよ) 三観良薬 (三には良薬なることを観ぜよ) 四観施主是善知識也 (四には施主は是れ善知識なりと観ぜよ) 五観為得道也 (五には道を得んが為なることを観ぜよ)
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