現棟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 05:25 UTC 版)
現棟は木造2階建ての3棟の寮舎(南寮・中寮・北寮)が並列し、平屋の管理棟(本館)につながる構造である。収容定員147名。居室は1人部屋または2人部屋。1913年(大正2年)に、山本治兵衛と永瀬狂三の設計により、京都帝国大学寄宿舎として建設された。その際には、現在の吉田キャンパス本部構内にあった、旧・京都帝国大学寄宿舎の部材が転用された。 旧・京都帝国大学寄宿舎は木造3階建ての構造であった。外からは大きな屋根のある木造2階建てに見えたが、実際は広い屋根裏部屋があった。収容定員約60名。1889年(明治22年)に、山口半六と久留正道の設計により、第三高等中学校寄宿舎として建設された。この建物は1894年(明治27年)からは第三高等学校寄宿舎として、1897年(明治30年)からは旧・京都帝国大学寄宿舎として使用された。1912年に一度解体され、吉田寮現棟に再構成された。現棟の階段室などには旧寄宿舎の面影がある。 建築の専門家は現棟を明治・大正時代の歴史的建築資産と評価し、補修を度々訴えている。2009年、京都府教育庁指導部文化財保護課は現棟を「京都府の近代和風建築」にリストアップした。2015年5月、日本建築学会近畿支部は京大の山極壽一総長宛に「京都大学吉田寮の保存活用に関する要望書」を提出した。また同年11月には建築史学会が山極総長宛に「京都大学学生寄宿舎吉田寮の保存活用に関する要望書」を送付した。吉田寮自治会も以前より現棟の補修を求めてきたが、京都大学は応じず、2017年12月、耐震性の不足を理由に現棟と新棟に居住する全寮生に2018年9月末日までに退寮するよう命令した。吉田寮自治会は確約(京大が吉田寮自治会に対して約束した事柄)に違反しているとして退寮に応じず、2018年10月以降も100人以上の寮生が居住を続けている。
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