特筆すべき影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/01 02:46 UTC 版)
ポストモダン作家はしばしば、『ドン・キホーテ』や『千夜一夜物語』、『デカメロン』や『カンディード』など多くの古い小説や物語の中にみられる構造やナラティブの実験性を指摘している。英語圏では、ポストモダンへの影響としてローレンス・スターンの『トリストラム・シャンディ』(1759年)の重量級の語彙、パロディ、物語の実験性などが度々言及される。他にもバイロンの風刺(特に『ドン・ジュアン』)、トーマス・カーライルの『衣装哲学』、アルフレッド・ジャリの下品な『ユビュ王』とそのパロディや「パタフィジック」の発明、ルイス・キャロルの言葉遊び、ロートレアモンやアルチュール・ランボー、そしてオスカー・ワイルドなど、19世紀の啓蒙思想に対する攻撃やパロディ、冗談などを色濃く示している作品が多い。スウェーデンの劇作家アウグスト・ストリンドベリ、イタリアの作家ルイジ・ピランデロ、ドイツの劇作家で理論家のベルトルト・ブレヒトなど、19世紀から20世紀初頭の劇作家たちは、ポストモダンに美的な影響を与えたといわれる。1910年、ダダイスムの流れの中でアーティストたちは、遊び心や偶然性を称賛し、新たな芸術に挑んだ(要説明)。トリスタン・ツァラは『ダダイストの詩の作り方』で、山高帽の中にランダムに入れられた単語を順番に取り出してつくるダダイストの創作方法を提案した。他にも、ダダイスムは大学の発展の中でもポストモダンに影響を与えている。大学では既存の広告や有名な小説の押絵などを使用した(マックス・エルンストの大学のように)。ダダイスムから発展し、意識の流れを称賛してパロディや偶然性を引き継いだシュルレアリスムへとアーティストは移行していった。シュルレアリスムの祖アンドレ・ブルトンは、オートマティスムと夢の記述は文学創作において偉大な役を演じると主張した。彼はオートマティスムを使って小説『ナジャ』を書き、説明のかわりに写真を使うことによって、彼が常々批判していた過剰な説明をしたがる作家たちをパロディにした。ルネ・マグリットの重要な実験はジャック・デリダやミシェル・フーコーによって引用された。フーコーはまた、多くのポストモダン作家に直接影響を与えた最も重要な作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスからの引用も行った。ボルヘスが創作を始めたのは1920年代だが、彼はポストモダン作家として分類されることがある。彼のメタフィクションとマジックリアリズムの実験は、英米ではポストモダンの時代まで十分に理解されなかった。
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