物理空間上の波の後方散乱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/21 07:36 UTC 版)
「後方散乱」の記事における「物理空間上の波の後方散乱」の解説
後方散乱は全く異る様々な物理的状況で起こりうる。入射波もしくは入射粒子が元の方向から偏向するようならばその機構は問われない。 大粒子からの拡散反射とミー散乱は山頂光(英語版)や対日照を引き起こし、気象レーダーに利用される。 電磁波と伝達媒体との非弾性衝突(ブリルアン散乱やラマン散乱)はファイバー光学において重要である。後述参照。 イオンと試料との弾性散乱(ラザフォード後方散乱) 結晶からのブラッグ回折は非弾性散乱実験において利用される(中性子後方散乱(英語版)、X線後方散乱分光) コンプトン散乱は後方散乱X線画像法に利用される。 散乱がそれなりに等方性をもち、散乱方向の分布に偏りがなくいろんな方向にランダムに散乱される場合がある。このような場合には、「後方散乱」という言葉は単に実用上の問題から検知器が後方に置かれていることを示すにすぎない。 X線画像では後方散乱画像は透過画像の単に逆である。 非弾性中性子散乱もしくは非弾性X線散乱の場合、エネルギー分解能を最適化するために後方散乱配置が採られる。 天文学において、後方散乱光とは位相角(英語版)が90度よりも小さい反射光である。 後方散乱の強度が増す場合もあり、いくつかの理由が挙げられる。 山頂光(英語版)は、レイリー散乱により青いスペクトル成分が抑制され、赤い光が優勢になるため起こる。 対日照には干渉により強めあう光が関係する(要検証)。 コヒーレント後方散乱はランダム媒体で見られる。可視光域では、ミルクのような懸濁液で見られる場合が最も多い。弱い局在化(英語版)により増幅された多重散乱が後方で観測される。後方散乱配置(英語版) (BSA) 座標系はレーダー装置でよく用いられる。 前方散乱配置(英語版) (FSA) 座標系は主に光学装置で用いられる。 標的の後方散乱物性は波長に依存し、偏極にも依存する。したがって、複数の波長および偏極を用いるセンサー系ではさらなる標的の物性が得られることもある。
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