むせん‐アドホックネットワーク【無線アドホックネットワーク】
読み方:むせんあどほっくねっとわーく
アドホックネットワーク
【英】ad hoc network
アドホックネットワークとは、専用の基地局を用いず、端末装置自体が持つ中継機能を利用することにより、一時的に相互接続される端末群で構成されるネットワークのことである。
アドホックネットワークでは、多数の端末同士を基地局の介在無しに接続する「マルチホップ通信」の技術を用いている。マルチホップ通信は、基地局がなくても、他の端末を中継しながら通信エリアを拡大できるというメリットを持つ。
アドホックネットワークで利用される無線接続の方式としては、IEEE 802.11x、Bluetooth、ZigBeeなどの規格がある。IEEE 802.11xは、通信半径が100m程度と広いのが特徴である。一方、Bluetoothは通信半径が10m程度と狭いものの、小型周辺機器の接続に適しているという特徴がある。ZigBeeはセンサー同士を接続するのに用いられる。
通常のネットワークでは、固定的に設置される基地局が、中継機能を持ち、各端末を結び付けている。このため、一定の基地局インフラの整備が必須となる。これに対し、アドホックネットワークでは基地局インフラの整備が不用であるため、基地局のない地域で安価にネットワークの利用が可能となる。
アドホックネットワークに関する技術的な課題としては、マルチホップ通信方式については、動的に変化する中で通信経路をどのように決定するのかが問題となる。また無線接続については、周波数帯域の割り当てと出力の大きさの設定をどうすべきかといった問題がある。
アドホックネットワークの利用分野としては、基地局インフラを必要としないなどの特徴から地震などの災害時の連絡、モバイルへの適用性から車両間のような移動体同士の接続などが考えられている。
なお、「アドホック」(ad hoc)は、英語で「その場限りの」「その場しのぎの」「特別な」という意味合いのある副詞または形容詞である。
無線アドホックネットワーク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/04 02:59 UTC 版)
「アドホック」の記事における「無線アドホックネットワーク」の解説
従来型の移動体通信(携帯電話など)では、基地局、およびそれらを繋ぐ固定網などの基盤設備が必須である。 しかし、無線アドホックネットワークでは、固定ネットワークは不要であり、各端末自身が自律的にルーティングを行い(いわば、各端末がルーターやL3スイッチの役割を持つ)、マルチホップ通信を行う。 本質的にインフラレスであり、ネットワークを構築したい環境に端末を散布するだけ、端末が寄り集まるだけで、ネットワークを即席的に構築することが可能である。 いくつかの形態があるが、ひとつの形態として、モバイルアドホックネットワーク(MANET)がある。MANETでは、ラップトップPCや携帯電話など、携帯可能である端末で無線アドホックネットワークを構築する。
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