烏金
- 高利貸の貸金をいふ。暁鴉の鳴く頃金を貸し、晩鴉の鳴く頃返却せしむる程其返済期限の急迫なるに喩ふ。
- 高利貸の金。其の返済期短く暁の烏の鳴く頃貸して夕方の烏の鳴く頃には返済を迫るとの義より起る。
- 夜あけまでには返すと約して借金することをいふ。正直集に「かへりてはくるからかねをはらふ世に定あるこそからすなりけり」とある。
- 翌朝までには返済する契約をして借金すること。又その金のことをいふ。
- 安永の頃、竹内郡次郎なる徒士の母で車婆と綽名される老婆があつた。金一両を貸すに三十日期限、利息天引で三分を渡した。一晩延びるのを宿鴉といつた。徒士は黒い羽織を着て朝早く御番に出るのでこれを朝鴉と呼んだ。そこでこの高利貸婆を鴉婆、その貸金を鴉金と云ふやうになつた。からす金、即ち高利の金のことである。
- 高利貸用語、一日一割の利子を天引して朝貸与し、その夕刻には必ず引立てること。烏は朝未明に塒を出て夕方にまた帰るところから出た語。
烏金
- 高利貸の用語にして、貸金法の一種である。主として夜店商人などが資本金として借入れるのであつて、一日一割の利子を天引して、朝貸与し、その日の夕刻には必ず取立てるのである。烏は朝まだきねぐらを出て夕べにはまた巣に帰るからいつたものである。正直集に「かりてはくるから金を払ふ世に定めあるこそからすなりけり。」とある。
分類 高利貸
カラス金
(烏金 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/29 17:19 UTC 版)
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カラス金(鴉金、烏金、からすがね、からすきん)は、一昼夜を期限として高利で金を貸す業者のことである。利率は1日に2,3パーセントから1割と高金利で、借り入れた翌日の早朝までに利息と元金を返済する決まりだった。名前の由来は夕方にカラスがカァと鳴けば利子が付くこと、あるいは明け方にカラスがカァと鳴くまでに返済することという説もある。利息は天引きで、青茶婆、高田婆などと呼ばれた老婆が貸付け、利息と元金を集金して回ったという。
芝居茶屋や飲食店、それに商品を担いで町中を売り歩く棒手振りのような日銭商売を営む零細個人事業主たちや芸人が、当日必要な金を借りて翌朝に利息をつけて返済していた他、吉原遊びや賭場の資金としても利用された。
江戸時代からこのような業者は存在していた。江戸幕府の倒壊とともに姿を消した札差とは違い、烏金・日済・月走といった庶民相手の高利貸しは明治時代になってからも存続していた[1]。
融資の例
- 行商人のAさんは朝、金貸しに1000円を借りました。
- Aさんは借りた1000円で市場で商品を仕入れました。
- Aさんは町へ行って仕入れた商品を売り歩きました。
- 夕方には仕入れた商品を売りさばき1300円の売り上げを得ました。
- 夜、Aさんは金貸しに元本1000円と利子の100円を返済しました。
- Aさんの手元には200円の利益が残りました。
江戸時代の庶民金融
仕入先などから朝に100文を借りて夕方までに101文返す場合を「百一文」と呼ぶ(利子は1文とは限らない)。
質をとる質屋に対して、質をとらない金融業の総称は「素金(すがね、銀通貨圏の上方では素銀)」であり、現代の消費者金融に相当する。
十日で一割の利子が付く場合は「十一(といち)」、五両借りて月に一分(1分は1両の4分の1)の利子が付く場合(年利にして単利で60%)は「五両一(ごりょういち)」と呼ぶ。
期日を定めて、毎月決まった額を返済する場合は「月済貸し(つきなみがし)」、毎日決まった額を返済する場合は「日済貸し(ひなみがし)」と呼ぶ。日済貸しは現代の日掛け金融(日賦)にあたる。
座頭には幕府から許されて金貸しを営んでいるものがあり、座頭が貸した貸付金を「座頭金(ざとうがね)」と呼んだ。期限は3か月が一般的であった。
二宮尊徳が始めた金融制度を「五常講(ごじょうこう)」と呼ぶ。五常講は世界初の信用組合と言われ、その名は五常(仁・義・礼・智・信の五つの徳)に由来する。無利子・無担保(但し返済時には冥加米を支払った)で1人あたり100日を期限として貸し出し、不払いについては共同責任として組合員が負担した。無尽(むじん)、頼母子講(たのもしこう)の一種である。
脚注
参考文献
- 『べらんめぇ 大江戸講座』 緒上鏡著 リイド文庫 ISBN 4-8458-3206-2
- 『新装版 江戸物価事典』 小野武雄編著 展望社 ISBN 978-4-88546-201-6
- 『江戸のお金の物語』 鈴木浩三著 日本経済新聞出版社 ISBN 978-4-532-26115-3
- 『江戸の卵は1個400円! モノの値段で知る江戸の暮らし』 丸田勲著 光文社新書 ISBN 978-4-334-03617-1
- 『金貸しの日本史』水上宏明著 新潮新書 ISBN 4-10-610096-7
- 『国史大辞典』2巻 吉川弘文館 ISBN 4-642-00502-1
関連項目
「烏金」の例文・使い方・用例・文例
- 烏金を貸す
- 烏金を借りる
- >> 「烏金」を含む用語の索引
- 烏金のページへのリンク