点灯概念の限界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/10 03:03 UTC 版)
「マジックナンバー (野球)」の記事における「点灯概念の限界」の解説
以下のケースでは、マジックナンバーの「点灯」は優勝に対する適切な指標にならない。 自力優勝可能な2チームの直接対決しか残っていない場合 この場合、「自分以外のチームの自力優勝可能性がない」という条件が満たされず、いずれのチームにもマジックが点灯しない。なおこの状況でも隠れマジックは定義できるので、隠れマジックを指標として使える。過去の例として1994年のセ・リーグにおいて巨人と中日が同勝率の状態で迎えた、両軍にとってのシーズン最終戦となる直接対決(10.8決戦)が挙げられる。また、2014年のパ・リーグは、1位の福岡ソフトバンクホークスがシーズン最終戦となる2位オリックス・バファローズとの直接対決を、マジックが点灯しないままゲーム差なしの状態で迎え、ソフトバンクが延長戦の末に勝利したことで優勝が決定。優勝したチームに最後までマジックが点灯しないまま優勝決定となった。 残り試合数がチームによって大きく偏っている場合 野球の試合は雨天などでの中止やそこから派生した変則日程が生じることがあるため、残り試合数が偏ることも起こりうる。大半の試合を消化したチーム同士が互いに潰しあっている状況では、上位チームでも自力優勝の可能性が消滅することもあり、こうした状況ではあまり試合を消化しておらず多く残り試合を抱える下位チームにマジックが点灯することがある。しかしこの場合のマジックナンバーは「優勝へのカウントダウン」というよりは、残り試合から逆算して「あと何試合負けたら終わり」と実感させるような残り試合数とほぼ同数という厳しい条件を示す数字になってしまいがちで、実際にチームが2位の時点でそのシーズン最初のマジックが点灯した例はパ・リーグが1シーズン制に復帰した1983年以降両リーグ合わせて6例あるが、そのうちマジックを減らして逆転優勝したのは1998年の西武ライオンズ(当時)の1例のみである。過去の例として、1988年のパ・リーグが有名である。1位ながら試合消化が進み、優勝の決まらない状態で130試合を終えた西武を対象として、2位の近鉄バファローズに優勝マジックが灯ったが、近鉄が10月19日の対ロッテ戦のダブルヘッダー(10.19)に1勝1分で優勝を逃している。その他2010年のセ・リーグでも1位・中日ドラゴンズの試合消化が早かった影響で、9月26日時点で中日より残り試合が8試合多い2位阪神に優勝マジックが点灯した(更に9月28日には3位に転落したが、マジックは変わっていない)例や、2021年のパ・リーグで、10月14日時点で1位オリックスとの直接対決を全て終えて1ゲーム差で追う2位ロッテがオリックスより残り試合が3試合多いためマジックが点灯した例、また直接的なリーグ優勝へのマジックではないものの、2006年パ・リーグでのレギュラーシーズン1位マジックが灯る状況でありながら、直接対決の結果による順位変動で上位3チームが三すくみのような状態になってなかなか灯らないというケースもあった。 なお、このようなケースにおいて自力優勝が不可能な1位チームの「隠れマジック」が報じられる場合がある(自力優勝が不可能であることから残り試合数を上回る数値となる)。これは2位以下のマジック点灯チームがほとんど負けが許されない状況で、寧ろ自力優勝が不可能な1位チームのほうが有利な状況において、「自チームがこれだけ勝てば優勝できる」というよりも「マジックが点灯している2位以下の対象チームがこれだけ負ければ優勝できる」という意味合いが強い。 このような隠れマジックが比較的長期間わかりやすい状態で定義されていた例としては上述の2021年のパ・リーグがあり、10月21日時点で、残り6試合の2位ロッテがマジック5の状態だったが、残り1試合の1位オリックスとは1ゲーム差であり、ロッテが残り6試合で3敗するとオリックスの残り試合の結果に関わらずロッテの優勝が消滅(オリックスの優勝が決定)するため、オリックスの隠れマジックが3であるとされた。10月25日にはオリックスが最終戦を勝利し(この間にロッテは3戦消化し2勝1敗)、首位ながら優勝が決定しないまま全日程を終了。この時点で3試合を残したロッテがマジック3で、ロッテが1敗すればオリックスの優勝が決まるという状況のため、対象チーム(ロッテ)の敗戦を前提とした隠れマジックを1とした。結果的に次戦でロッテが敗れたことでオリックスの優勝が決定した。
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