点無しي
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 15:09 UTC 版)
アラビア語は元々弁別点を一切持たない線状の形をした文字列だったが、クルアーン朗誦で間違いを犯さないようにと後代になって文字同士を区別する弁別点や発音記号が新たに開発された。点が無いと混同の可能性が非常に高い部分には初期から弁別点の記載が義務化されたが、ي(ヤー)については単独形と語尾形はその恐れが低いとして下につく弁別点2個の付記は義務とはされず長い間元の形状である ى がそのまま使われ続け、文法的にも許容されてきた。 クルアーンの写本で語末 ي に点が無いのもそのためで、アラブ諸国では近代以降全ての位置において弁別点をつける ي(点ありヤー、الياء المنقوطة)が一般化。しかしエジプトだけは旧つづりを使い続けており出版物で今でも ى(点無しヤー、الياء غير المنقوطة)が広く用いられている。 この点無しヤーは弁別点が書かれないためアリフ・マクスーラ(ى)と同型になるが別物である。 またヤーがハムザ(ء)の台座となる時は弁別点は書かれない。アラビア語文法では一般にハムザの台はكرسيّ(クルスィー)と呼ばれるが、ハムザの台となるヤーについてはنبرة(ナブラ。ハムザ、ハムザつきアリフを指す他 ئـ / ـئـ からءを除いた点無しヤーとしての台の部分の意味で使われている例も。)という呼称が用いられることもある。 なおクルアーンでは長母音となるアリフ・マクスーラの上にはマッダ記号や短剣アリフが書かれるなどして通常のヤーと区別されるなどしており、現代アラブ世界でのフスハー文にこれらを書き足す人も見られる。
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