灯油ランタン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/07 06:58 UTC 版)
「バーン・ランタン」ないし「ハリケーン・ランタン」としても知られる灯油ランタンは、携帯および屋外使用のために作られた平芯ランプである。これははんだ付けないし圧着された打ち抜きされた金属板で作られており、錫メッキされた鋼板が最も一般的な材料で、真鍮と銅がそれに続いている。デッド=フレイム型、ホット=ブラスト型、コールド=ブラスト型の三種類がある。ホット=ブラストとコールド=ブラストの両方の設計は筒状ランタンと呼ばれているが、筒状ランタンを傾けるとバーナーへの酸素の供給が遮断されて数秒で炎が消えるので、デッド=フレイム・ランプよりも安全である。 1850年代と1860年代の最も初期の携帯用灯油「ガラス球」ランタンはデッド=フレイム型であり、開いた芯を備えることを意味していたが、炎への上向きの空気の流れはバーナーの下と上部が開いた火屋にある通気孔の組み合わせによって確実に制御されていた。これは横向きの気流を除去する効果があり、露出した炎で発生する可能性があるちらつきを大幅に低減ないし除去することができた。 後のホット=ブラストやコールド=ブラストなどのランタンは、芯を「デフレクター」ないし「バーナーコーン」で部分的ないし完全に囲んでこの気流制御をさらに進め、芯で燃焼するために供給される空気を導くと同時に燃焼のための空気を予熱した。 その構造に用いられている金属管から「筒状ランタン」としても知られるホット=ブラストはジョン・H・アーウィンによって発明された1869年5月4日に米国特許を取得した。この特許には「風が炎を消すような態様で作用する代わりに、その継続を支援し、火が消えるのを防止するのに役立つランタンを作る新しい様式」と記載されている。この改善は本質的に、通常は保護されていないデッド=フレイム・ランタンの炎を消す傾向がある風を、その代わりに燃料の燃焼を支援・促進するために減速し、予熱されてバーナーに供給されるように向きを変えるものである。 その後、アーウィンは1873年5月6日にコールド=ブラスト設計の特許を取得してこの設計を改良した。この設計は、吸気部分を再設計することによって酸素が枯渇した高温の燃焼副産物の向きを変えてバーナーに再循環することを防ぎ、酸素が豊富で新鮮な空気のみが大気からランプへ引き込まれることを除けば、以前のホット=ブラストの設計と似ている(「新鮮な空気の入口は、燃焼生成物の上昇流の外に配置され、それによって、前記生成物が[空気取り入れ口]に入るのを防ぐ」)。以前の「ホット=ブラスト設計」と比べたこの設計の第一の利点は、新鮮な空気のみがバーナーに供給されるようにすることで、燃焼に利用できる酸素の量を最大化し、それによって炎の明るさと安定性を高めることだった。
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