溶岩円頂丘の変遷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 17:54 UTC 版)
溶岩ドームとは、動的な構造物である。成長、崩壊、凝結、そして侵食のような、長い時を超えて、それが経験するいろいろな過程によって進化するものである。 溶岩ドームは、その成長の仕方によって、内成(ないせい)ドームと外成(がいせい)ドームに分けられる。前者、つまり内成ドームは、新しく湧き上がってくるマグマを包み込むために、外側の固化した溶岩でできたドームの内側面が拡がることででき上がり、後者、つまり外成ドームは、溶岩がドームの表層部に積みあがることででき上がる。溶岩が火口から押し出されて遠くへ流れ出すのを阻まれるのは、溶岩の高い粘度のためである。それゆえ、どろどろの溶岩がドームの様な形状をつくり、野外のその場でゆっくりと冷却していくのである。ドームは成長するにつれ、その高さは数百メートルに達することがある。成長はゆっくりと、しかも着実に続けられる。生長期間は、九州・島原半島に聳える雲仙岳の平成新山を作った1990年噴火のように、数か月で収まる場合もあれば、カリブ海に浮かぶモントセラト島にあるスーフリエール・ヒルズのように、数年にわたって続く場合も、またあるときにはインドネシア・ジャワ島にあるムラピ山のように、数千年も生長期間が続く場合もある。 これらの構造体の脇は、不安定な岩屑(デブリ)で構成されている。ガス圧による途切れ途切れの積み重ねのため、まさに噴出中のドームは、何度も爆発的な噴火エピソードをよく経験する。もし、まだ内部が溶融状態にある溶岩ドームの一部が崩壊しでもしたら、噴火現象のなかでも一番致命的な火砕流が発生しうる[要出典]。他の災害で溶岩ドームとかかわりのあるものは、ドーム状をした山体自体が崩壊すること、山火事、泥や雪や氷、水のそばで発生した火砕流によって引き起こされる火山泥流(土石流)がある。 溶岩ドームは世界中に位置する殆どの成層火山にある、主要な構造上の特色を形付けるものでもある。溶岩ドームには流紋岩質のシリカが豊富に含まれる溶岩で作られているため、丁度、火口に栓を嵌めたような状態になりやすい。そのため、火山の爆発的噴火を、それがない状態よりも危険なものにしてしまう。 溶岩ドームを作る噴火には、火道内の空間を充たすマグマと、それらから分離して生成されたガスのもたらす過剰な圧力が原因で起こる、浅く、長い周期の複合的な火山性微動を伴うという特徴が含まれる。 他の溶岩ドームの地学的特徴は、半球形をした形状、長期間にわたるドーム成長サイクル、突然起こる激甚な爆発的噴火があげられる。ドームが平均して成長する割合は、地下にマグマが供給される量を荒っぽく示したものとして使われることがある。しかしながら、それは溶岩ドームを作る噴火のタイミングや特徴とはシステマチックな相関を何も示さない。
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