湖
『ギュルヴィたぶらかし(ギュルヴィの惑わし)』(スノリ)第1章 スウェーデン王ギュルヴィが、旅の女に「4頭の牛が1昼夜で鋤けるだけの土地を与えよう」と約束する。女はアース神族の1人であり、牛は強く、鋤は地中にくいこんで、土地を根こそぎ引っ張って行った。女は土地を西の海上に置き、地面の削り取られたあとは湖になった〔*デンマークのシェラン島と、スウェーデンのメーレル湖の形が類似するため、このような国造り神話ができたと言われる〕。
琵琶湖の始まりの伝説 近江には、なまけ者ばかり住んでいたので、天の大神が怒り、ドシンと脚を下ろして警告した。大神が脚を持ち上げると地面に大きな足跡が残り、水が流れこんで琵琶湖になった。だから琵琶湖は足の裏の形をしている(滋賀県大津市)。
*一夜のうちに地が裂けて琵琶湖ができた→〔山〕4dの『和漢三才図会』巻第56・山類「富士山」。
『ホーキング、宇宙と人間を語る』第2章 紀元前5600年頃、オレゴン州のマザマ火山が噴火した後、火山のクレーターは、降り続く雨に満たされ、現在「クレーターレイク」と呼ばれるカルデラ湖が形成された。オレゴンのクラマス・インディアンの神話によれば、下界の頭(かしら)ラオがクラマスの酋長の娘に恋して拒絶され、怒ったラオは炎でクラマスを滅ぼそうとした。天界の頭スケルがクラマスを哀れみ、ラオと戦って倒す。ラオはマザマ山に落ちて巨大な穴ができ、それが水で満たされてカルデラ湖になった。
*人間のおごりや悪行によって、町が陥没して湖になる→〔水没〕1に記事。
*伯爵の領地が湖になる→〔蛇〕3の『ドイツ伝説集』(グリム)132「ゼーブルク湖」。
★1b.湖が陸地になる。
穴切神社蹴裂明神の伝説 昔、甲府は一面の湖だった。地蔵菩薩が「この水をなくして陸地にしたら、人が住めるだろう」と、2人の神様に相談した。1人の神様が山を切り開き(=穴切神社)、もう1人の神様が山の端を蹴破り(=蹴裂明神)、水路を造って湖水を富士川に落とした。不動尊も、河瀬を造って協力した。この2神2仏のおかげで、甲府盆地は現れたのである(山梨県甲府市穴切町)。
『遠野物語』(柳田国男)1 遠野郷は陸中上閉伊郡の西半分、山々に取り囲まれた平地である。大昔、遠野郷一帯はすべて湖水だったが、その水が猿ヶ石川となって人里に流れ出て以来、現在のような陸地となり集落ができた、と伝えられる。
★2.湖上を歩く。
『マタイによる福音書』第14章 イエスが岸辺から、舟に乗る弟子たちの所へ、湖上を歩いて行く。弟子たちは湖上を歩むイエスを見て恐れ、「幽霊だ」と叫ぶ。弟子ペテロ(ペトロ)がイエスを真似て水上を歩くが怖くなり、溺れかける。イエスは「信仰薄い者よ。なぜ疑うか」と言って、ペテロを助ける〔*『マルコ』第6章・『ヨハネ』第6章では、ペテロが溺れる記事がない〕。
*オリオンが海上を歩く→〔海〕5の『ギリシア神話』(アポロドロス)第1巻第4章。
『子不語』巻20-553 湖南省の湘潭に鏡水という湖があって、人間の三生(=前世・現世・来世)を照らし出す。駱秀才という者が行って見ると、人間ではなく1頭の猛虎が映った。老船頭が行くと、仙女のごとき美女が映った。
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