測定の営みと計量学の3種の活動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/21 14:12 UTC 版)
「計量学」の記事における「測定の営みと計量学の3種の活動」の解説
測定とは、ある量を決められた一定の「基準」と比較し、数値または符号で表すことである。例えば日常的に長さの測定を行う時は定規や巻尺を用い、機械工場などでより精密な測定が必要となる時はマイクロメータを用いて、長さを数値として得ることができる。このような測定のための計器や他の装置との組合せ系を測定系(measuring system)と呼ぶ。 各測定系の示す値は可能な限り一致している必要があるため、基準として「ある単位又はある量の値を定義、実現、保存又は再現することを意図した計器、実量器、標準物質、測定系」が必要となる。これを標準(standard)と呼ぶ。標準によって実現されるべき値は国際的な合意により定まっているが、実用上は、国際標準と比較して値が決定された国家標準、国家標準と比較された参照標準、さらに実用標準といった連鎖で、各標準が用意されている(それぞれ英語では international standard, national standard, reference standard, working standard)。 この過程を上流から眺め直すと、計量学を主に3種の活動に分類することができる。 計量単位の定義(definition) 例えば、1メートルを「北極点と赤道の距離の1/10000000」と定義すること。1983年には不確実性を低減するために定義が改められ、「真空中で1秒の1/299792458の時間に光が進む行程の長さ」とされた。その後も国際単位系 (SI) には他の数々の欠点が指摘され、2019年に行われた定義の改訂では計量学が重要な役割を果たした。 計量単位の実現(realisation) 例えば、上記のメートルの定義を実際の長さとして具現化すること。かつてはメートル原器の製作により行われた。現在はヨウ素で安定化されたヘリウムネオンレーザーを用いる。 トレーサビリティ(traceability)の確立 測定値および測定の正確さを決定して文書化し、その知識を普及すること。また、不確かさがすべて表記された切れ目のない比較の連鎖によって、単位の定義から各種標準、そして測定系を全て関連付けること。これにより、測定結果や標準の値はより高いレベルの標準に関連付けられ、トレーサビリティチェーンを辿っていくことによって最終的に一次標準(primary standard)に到達することができる。
※この「測定の営みと計量学の3種の活動」の解説は、「計量学」の解説の一部です。
「測定の営みと計量学の3種の活動」を含む「計量学」の記事については、「計量学」の概要を参照ください。
- 測定の営みと計量学の3種の活動のページへのリンク