河口の赤潮被害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 13:32 UTC 版)
「塩田川 (佐賀県)」の記事における「河口の赤潮被害」の解説
有明海は本河川以外に複数の一級水系の河口となっており、これらの河川から栄養塩が供給されることで海苔の養殖が全国で最も盛んな地域である。しかしながら秋芽期から冷凍網期にかけて塩田川河口を中心に赤潮がたびたび発生し、海苔が色落ちしてしまうこと、特にこの赤潮が塩田川河口を発生源として鹿島市や白石町の西部漁場一帯にまで拡大してしまうことが問題視されるようになった。これは主に、海苔漁場の澪に泥が堆積し河川からの栄養塩供給が停滞すること、加えて潮流の停滞・淡水化に伴い富栄養化することで、栄養塩を消費するアステリオネラ・スケレトネマ・ユーカンピア等の珪藻が大量発生するものである。 河口の流れは国営諫早湾干拓事業の影響を強く受けるため、2006年(平成18年)度に総合的な環境調査及びシミュレーションを実施し、塩田川河口付近より東北東に約2km・幅30mの澪を掘削する方針を決定。2007年(平成19年)度・2008年(平成20年)度の2年間で半分ずつ作澪が行われた。そして2011年(平成23年)度には塩田川河口の浚渫も実施された。にもかかわらず2011年(平成23年)12月から2012年(平成24年)2月にかけて赤潮が長期間続いたことを受け、地元からは更なる作澪要望が上がった。佐賀県は再び海底地形の測量や潮流調査を実施し、作澪場所の移動及び規模の大幅拡大(幅40mないし長さ4km)が効果的との結論を得た。2013年(平成25年)度に国の補助事業採択を経て作澪を行い、現在の施工延長は約6,400mとなっている。 一方、赤潮の原因を諫早湾干拓から大量の淡水を秋芽期から冷凍網期(張替準備期間)にピンポイントで排水する点に求める指摘もあり、諫早湾の開門調査なくして根本的な解決は不可能との声も上がっている。
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