江滬-V型 / 053H1G型
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「江滬型フリゲート」の記事における「江滬-V型 / 053H1G型」の解説
1980年代後半から1990年代にかけて南沙諸島や台湾海峡の情勢が緊迫し、哨戒艦艇を配備する必要が生じた。しかし、上記のとおり053H2型は不満足なものであり、一方、後継となるべき053H3型は、この時期、まだ建造に入れる状況ではなかった。このことから中国海軍は053H1型をベースに、053H2型で実用化された装備をバックフィットした、漸進的な改良型の建造を決定した。これによって建造されたのが053H1G型(江滬-V型)である。 いわば「戦時急造艦」である江滬-V型(053H1G型)は、冒険を避けたうえで、江滬-I型(053H / H1型)を最大限に強化した設計となっている。船体設計としては、上部構造物を密閉構造として、NBC防護能力を付与したことがあげられる。これは053型シリーズとしては初の能力で、続く江衛型(053H2G / 053H3型)でも踏襲された。 近接防空火器は37mm連装機関砲で変わらないが、その機種は全自動の076A型に変更され、限定的ながらも対艦ミサイルに対する迎撃能力が付与された。また、対潜火力も、より長射程で強力なRBU-3200に変更されている。対艦ミサイルとしては、旧来より使用されてきたものの改良版であるSY-1AやSY-2を搭載するものとしたが、最近、新型のYJ-83への換装が順次進められている。 電子機器も強化されており、053H2型と同様のZKJ-3戦術情報処理装置が設置されたほか、長距離対空レーダーは強化型の517-H型とされ、対空・対水上レーダーも新型の360型レーダーに変更された。これはイタリア・セレニア社のRAN-10S / SPS-774レーダーの中国版で、Sバンドを使用して遠達性に優れ、クラッター除去能力にも優れている。 このように漸進的な設計を採用したことで、江滬-V型(053H1G型)は、3年間で6隻が就役するという急速な整備が可能となった。本型の最終艦が就役した1996年には、まったく新しい設計による汎用フリゲートの本命である江衛-II型(053H3型)の建造がはじまっており、本型が、対水上任務重視の江滬型フリゲートの系譜としては最後の艦となる。 053H1G型艦番号艦名就役退役所属艦隊 備考558 自貢(Zigong) 1993年 東海艦隊 559 北海(Beihai) 1994年 火力支援艦として江滬-I型「九江」と同様の改装が実施されるかもしれない。 560 東莞(Dongguan) 1993年 2019年 n/a 2010年に搭載ミサイルをC-201(CSS-N-3)からC-802(CSS-N-8)に改装した。 561 汕頭(Shantou) 1993年 562 江門(Jiangmen) 1995年 南海艦隊 563 仏山(Foshan) 1996年
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