氷の形成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 04:05 UTC 版)
着氷性の雨や霧が物体に付着してから完全に凍結するまでには、多少の時間がかかる。この時間は、凍結に伴う潜熱放出による加熱、蒸発に伴う潜熱吸収による冷却などの熱のバランスに左右され、湿度・気温・風速などに相関性がある。凍結速度が遅いと、枝の表面などでは水の部分は重力により落下していくほか、氷の表面は濡れた状態である。 着氷性の雨(過冷却の液体)→物体表面に付着→冷却による凍結→雨氷(固体) なお、雨氷の凍結を決定する熱的な収支バランスは、顕熱フラックス Q s {\displaystyle Q_{s}} 、潜熱フラックス Q l {\displaystyle Q_{l}} 、雨氷の凍結に必要な熱量 Q f {\displaystyle Q_{f}} の3つの和により表され、木の枝など円柱表面における算出式は以下のようになる。この値が負で値が大きいほど、凍結は速いと考えられる。 Q s = − π h a Δ T ( W / m 2 ) {\displaystyle Q_{s}=-\pi h_{a}\Delta T\ \mathrm {(W/m^{2})} } …( h a {\displaystyle h_{a}} は大気の熱交換係数 (W/(m2・℃))、 Δ T {\displaystyle \Delta T} は大気と雨氷表面の温度差 (℃)) Q l = − π L e h v Δ ρ v ( W / m 2 ) {\displaystyle Q_{l}=-\pi L_{e}h_{v}\Delta \rho _{v}\ (\mathrm {W/m^{2}} )} …( L e {\displaystyle L_{e}} は水の蒸発潜熱 (J/kg)、 h v {\displaystyle h_{v}} は水蒸気の交換係数 (m/s)、 Δ ρ v {\displaystyle \Delta \rho _{v}} は水蒸気密度の差 (kg/m3)) Q f = L f w {\displaystyle Q_{f}=L_{f}w} …( L f {\displaystyle L_{f}} は水の凍結潜熱 (J/kg)、 w {\displaystyle w} は降水フラックス (kg/(m2・s)) 気温と物体表面の温度が低いなどの条件が整うと、着氷性の雨は物体に付着してすぐに凍結し、次々と積もって厚い氷として成長していく。屋根や壁のような平面の物体では低い方へ広がりながら凍結していく。電線や木の枝のように細長い物体ではそれを取り巻くように凍結する。時には氷柱)のように滴りながら成長したり、風のある場合は風上や風下に偏って成長したりする。地面に積もる量としては、極度に激しい雨氷の場合、最大でおよそ4 - 6インチ(10 - 15センチメートル)程度の厚さになった記録がある。
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