地質学上の火山灰
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 22:38 UTC 版)
火山灰の光学顕微鏡写真(左)と電子顕微鏡写真(右) 火山から噴出されたもののうち、直径2mm以下の大きさのものを火山灰という。粒子の大きい順に「火山砂」(かざんさ)から「火山シルト」「火山粘土」へと呼び分けられることもある。物質としては火山ガラス、鉱物結晶、古い岩石の破片などがある。 火山ガラス 火山が噴火する時にマグマが地下深部から上昇してくると圧力が下がるため、マグマに溶解していた水などの揮発性の成分が火山ガスと呼ばれる気体となって、マグマは発泡する。これにより、残っていた液体のマグマが粉砕され微粒子となる。これが空気中に噴出されると、結晶になる暇もなく急冷されてガラスとなる。このガラスの成分は元のマグマの成分によって異なる。 鉱物結晶 マグマが地下深部から上昇してくるまでに、マグマの中で既にいくらか鉱物の結晶ができていることが多い。マグマが上昇して発泡する時に結晶自体が粉砕されることは少なく、1個ずつ分離された状態で噴出される。 古い岩石の破片 噴火が始まる時は火口を塞いでいた土砂等が吹き飛ばされる。また爆発的な噴火(水蒸気爆発など)の場合、火口上だけでなく周辺の山体を形成する岩石も破砕され、噴火の際共に放出される。そうして放出された岩体の内、細かいものについては火山灰に含まれる。 火山灰が堆積して固まった岩石(堆積岩)を凝灰岩という。 巨大な噴火によって大量の火山灰が空高く噴出すると、その火山灰は広範囲に同時かつ均一に堆積する(広域テフラ)。そのため地層が形成された年代を特定する際の鍵層として利用される。たとえば日本列島においては約6,000年前まで、噴出した火山灰が日本全土を覆うような大規模な噴火が度々発生しており、遺跡の発掘調査や活断層の活動時期の推定において重要な目安となっている。また、南極大陸などの氷床の中にも火山灰の層が薄く含まれており、氷床コアを利用した研究を行う際に、氷の形成年代決定の重要な役割を担っている。
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