気候上の重要性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 10:18 UTC 版)
海氷は、極域の海洋の熱バランスに重要な影響を与えている。温暖な海域をより寒冷な大気から遮断する、つまり海洋からの熱損失を減らす役割を果たしている。特に雪に覆われるとアルベドが高くなる(およそ80%)というように、吸収する日射量に影響を与える。 海氷の形成サイクルも高密度(高塩分)な底層水を形成するという面で重要である。凍結時海水に含まれている塩分を排出(ブラインの排出)するので、周囲の海水は塩分が増加させ密度を増して沈降し、南極底層水のような高密度の水塊を形成する。この高密度水の形成は熱塩循環を維持する役割を果たすため、このプロセスの正確な把握は気候モデルをより複雑にしている。 北極海にはグリーンランド海のオッデン氷舌 (Odden ice tongue) と呼ばれる、主にはす葉氷が形成される海域がある。オッデン(ノルウェー語で岬)は、冬季に東グリーンランドの海氷縁部から北緯72 - 74 °の付近で東方に向かって成長している。これは北極海から流れる非常に寒冷なヤンマイエン海流が存在するためである。ヤンマイエン海流は東グリーンランド海流の一部がこの緯度で東へ反転した流れである。前年から残っている氷が風に運ばれて南へ移動し、荒れた海域の寒冷な開放水面(海面が露出している部分)で新しくはす葉氷が形成される。この時排出される海水の塩分によって表層水の密度がより高くなり沈み込みが起こるが、その深さは時には2,500 mもしくはそれ以上深いところまで達する。この現象は、冬季に混合が起こる海洋の限られた場所で起こり、熱塩循環として知られる表層と深層の世界的な流れのシステムを駆動する。
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