気候共鳴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 05:33 UTC 版)
問題のメカニズムは地球システムの内部にあるかもしれない。地球の気候システム自体が10万年の共鳴周期を持っている可能性はある。つまり、鐘が自然に特定の高さの音を発するように、気候そのものが持つフィードバック機構が10万年の周期を生み出しているということである。この説への反論として、それ以前の200万年間には10万年周期はほぼ見られなかったのだから、共鳴があるとしたら100万年前に発生したものだという指摘がある。そのような変化が起こりえないわけではないが、例えば非常にゆっくりとした地殻構造の変化がその原因になるとは考えづらい。氷床量や海水温のような地球システムの内部要素が互いにフィードバックした結果として10万年周期の自由振動が生じた可能性も検討されてきたが、長期的に変化を蓄積するのに必要な1000年スケールの熱慣性を持つシステムはそれほど多くない。その中でも北半球の氷床に注目した仮説がもっとも一般的である。氷床は10万年より短いサイクルをいくつか経ながら成長し、十分に大きくなったところで突然の崩壊を起こす可能性がある。Rialらは気候システムの内部的な振動と、離心率による軌道強制のマスター・スレーブ同期が後期更新世の氷期に大振幅の10万年周期を生み出したと説明した。
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