水の事故
水辺・水域で発生する事故の総称。水難・海難を含む広い意味での「水に関連する事故」を指すものとして用いられている。
典型的な水の事故としては、海で大波にさらわれる、川に流される、渓流の深みにはまる、ボートが転覆する、といったものがある。風呂場の残り湯で溺れる、といった事故も水の事故に含まれる。年間に発生する水の事故の半数は、夏場の6月から8月の間に集中して発生しているという。
水の事故には、渓流の足場の悪い地帯や危険区域を把握していない、悪天候などによる環境の悪化を考慮していない、体調不良や疲れを考慮しない、などの事項を原因とするものも多く発生している。
関連サイト:
平成22年中における水難の概況について - 警視庁 生活安全の確保に関する統計等
水の事故をなくしましょう - 神奈川県警察
水難事故
(水の事故 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/31 10:21 UTC 版)
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水難事故(すいなんじこ)は、海、河川、湖沼、水泳プールなど水域で起こる事故 [1][2][3]。
概要
類義語に海難事故があるが、この2つの実際の用法は「海上か水上か」とは異なる。
「海難事故」が、海難審判法などでの法律用語としての「海難」に従い、(海上に限らない)船舶の事故を意味することが多いのに対し、「水難事故」は、ウォータースポーツや水辺のレジャーでの事故を含み、それらを特に指して使うことも少なくない[4][2][5][6]。山岳で行われる渓流釣りの場合、山岳事故に含めることもある。
一般に水と触れあう機会が多くなる暖かい時期(特に夏)に増加する傾向がある[7][8][9][1][2]。
通常、ため池では水難事故防止のため、行政による注意喚起の看板、高いフェンスが設けられていたり、出入り口が施錠されていたりするが、児童生徒が釣り竿片手にフェンスを乗り越えたり、破損していたりする所から侵入し、事故に遭うケースが多数報告されている。
日本で水泳授業が取り入れられるきっかけとして、修学旅行中の子どもたち168名が命を落とした紫雲丸事故が上げられる。事故を契機に、ほぼすべての公共学校のプールでの水泳の授業が拡充された[10]。この活動によって、中学生以下の子供が水難で助かる割合は上昇した[11]。ただ、21世紀初頭から老朽化などにともないプールを廃止する動きがある[12]。
アメリカ合衆国では、水泳は白人のスポーツとされてきた。この背景として、人種差別でプールの入場が制限され、プールや海水浴場で不当に扱われ、親も泳げないため教えられないなどがあった[13][14]。2018年の調査では、世帯収入が5万ドル未満の家庭の子どもの79%は、泳ぐ能力が低いか泳げないとされる。人種的な割合では、黒人64%、ヒスパニック45%、白人40%となっている[15]。そのため、21世紀初頭までに確認できる有色人種の子供が水難事故で溺死する割合は同世代の白人の子供に比べ1.5-3倍という結果となっている[13][16]。
水難事故における救助・捜索
日本において、海上での水難事故で負傷者や行方不明者がある場合には、海上保安庁の潜水士、警察や消防などの水難救助隊や航空自衛隊の救難隊、海上自衛隊の救難飛行隊、日本水難救済会や海守に所属するボランティアの人々による水難救助活動や捜索活動が行われる[17][18][19][20][21][22]。
水難事故の多い場所
- 岐阜県関市・美濃市内の長良川と支流板取川 - 2024年度までの過去17年間で事故合計189件で死者67人[23]
- 矢作川水系 - 2018年までの過去10年間で事故24件で死者25人[24]。
- 豊川水系 - 2018年までの過去10年間で事故20件で死者20人[24]。
- 静岡県の伊豆半島の城ヶ崎海岸 - 2013~2022年の10年間で17人の犠牲者[25]。
- 沖縄県恩納村の真栄田岬 - 2013~2022年の10年間で13人の犠牲者[25]。
- 千葉県船橋市の「ふなばし三番瀬海浜公園」周辺 - 2013~2022年の10年間で11人の犠牲者[25]。
- 滋賀県大津市の琵琶湖西岸 - 2013~2022年の10年間で11人の犠牲者[25]。
- 岐阜県美濃市の長良川 - 2013~2022年の10年間で10人の犠牲者[25]。
事故例
プールでの事故例は、プール#安全性を参照。
ため池での事故例は、ため池#転落事故を参照。
その他の事故例
- 1955年7月28日、三重県津市の中河原海岸で、中学校の水泳訓練中に女子生徒36人死亡。詳細は、橋北中学校水難事件を参照。
- 2017年9月の深夜、沖縄県の伊良部大橋の中央で車から降りてプロポーズしYESという返事をもらった男性が、喜びのあまり欄干に乗り出し橋の縁で滑って海に転落して死亡。女性が車を運転しており、男性は酔っていたという[26]。
- 2023年6月10日、日光国立公園内のサウナ施設で、25歳の公務員の男性客が、サウナ後に近くの冷水浴用の池に入り溺死した。池は長径約100m、短径約40mの楕円型であり、死亡した男性は深さ3mの水中から引き上げられた[29]。
- 2023年7月21日、福岡県宮若市の犬鳴川で、同じクラスの小学6年生の男女8人が夏休み初日に遊んでおり、手を繋いで川の浅瀬を歩いていたとき4人が深みにはまり、1人は別の2人が引っ張り上げ助けたが、残る女子生徒3人が溺れて死亡。溺死した3人は、溺れたところの水深2.5~3mの川底で見つかった[30]。
対策

関連項目
脚注
- ^ a b 「お盆期間中の水難事故、昨年より77%増…死者67人」『読売新聞』読売新聞社、2004年8月17日。オリジナルの2004年8月28日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ a b c 「各地で水の事故相次ぐ 静岡では6歳男児流され死亡」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年7月31日。オリジナルの2005年8月3日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ 「3歳男児、プールでおぼれて死亡 兵庫・相生」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年8月5日。オリジナルの2006年8月8日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ 「川岸から転落、24歳会社員死亡…兵庫・西宮」『読売新聞』読売新聞社、2004年8月9日。オリジナルの2004年8月11日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ 「水の事故相次ぐ、死者9人不明2人」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年8月5日。オリジナルの2006年8月8日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ 「各地で水の事故相次ぐ 6人死亡、1人意識不明」『朝日新聞』朝日新聞社、2012年8月12日。オリジナルの2012年8月13日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ 「海水浴場で54歳男性おぼれ死亡…山形・温海町」『読売新聞』読売新聞社、2004年8月7日。オリジナルの2004年8月9日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ 「岡山・倉敷の海水浴場で男性が水死」『読売新聞』読売新聞社、2004年8月8日。オリジナルの2004年8月10日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ 「砂防ダムで29歳男性が水死…兵庫」『読売新聞』読売新聞社、2004年8月8日。オリジナルの2004年8月10日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ “「学校での水泳の授業は必要なのか」60年前に大量につくられたプールが老朽化で維持できない大問題 競技としての水泳も水の安全教育も中途半端 (4ページ目)”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) (2023年8月31日). 2025年2月22日閲覧。
- ^ “プールなど学校現場における水難事故の実態(斎藤秀俊) - エキスパート”. Yahoo!ニュース. 2025年2月22日閲覧。
- ^ 玲, 堀川 (2024年7月14日). “広がる水泳授業の外部委託、水難学会の斎藤秀俊理事「校外プールで委託が安全」”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年2月22日閲覧。
- ^ a b “黒人はなぜ水泳が苦手なのか”. Newsweek日本版 (2018年8月29日). 2025年2月22日閲覧。
- ^ “ワシントンDC:子供の体育にも広がる米国のスポーツ・デバイド 小林知代”. 週刊エコノミスト Online. 2025年2月22日閲覧。
- ^ Meyersohn, Nathaniel (2023年7月22日). “Public pools are disappearing across America” (英語). CNN. 2025年2月22日閲覧。
- ^ CDC (2024年11月12日). “Health Disparities in Drowning” (英語). Drowning Prevention. 2025年2月22日閲覧。
- ^ 「遊泳中に不明の中1、水死体で発見…奈良」『読売新聞』読売新聞社、2004年8月3日。オリジナルの2004年8月5日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ 「近藤真彦さん、潮に流された小学生救助 和歌山」『朝日新聞』朝日新聞社、2004年8月5日。オリジナルの2004年8月5日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ 「北海道・厚田で海水浴の31歳会社員が水死」『読売新聞』読売新聞社、2004年8月8日。オリジナルの2004年8月14日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ 「福井沖のボート転覆事故、不明の会社員遺体で発見」『読売新聞』読売新聞社、2004年8月22日。オリジナルの2004年8月24日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ 「奄美大島で中1と小1の姉妹が高波にさらわれ水死」『読売新聞』読売新聞社、2004年8月23日。オリジナルの2004年8月24日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ 「沖に流され男性死亡 中1のおいも不明 北海道・白老」『朝日新聞』朝日新聞社、2012年8月11日。オリジナルの2012年8月13日時点におけるアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
- ^ “水難事故に注意!”. 岐阜県. 2025年7月31日閲覧。
- ^ a b “豊川・矢作川で重大な水難事故が多発しております” (PDF). 国土交通省 中部地方整備局 豊橋河川事務所. 2024年10月19日閲覧。
- ^ a b c d e 「10年で犠牲者10人以上、水の事故集中エリアが7カ所 1万件分析」『朝日新聞』朝日新聞社、2024年7月6日。2024年10月19日閲覧。
- ^ “宮古島でプロポーズ成功直後に男性転落死 その涙の真相”. NEWSポストセブン
- ^ 「インスタ映え「幻の滝」に飛び込み死亡 低い水温原因か」『朝日新聞』朝日新聞社、2020年9月10日。2024年10月19日閲覧。
- ^ 「「遊戯王」作者の高橋和希さん死亡は少女救助中 沖縄で」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2022年10月14日。2024年10月19日閲覧。
- ^ 「屋外で楽しむ北欧式「サ活」、潜む危険とは 日光の施設で死亡事故」『朝日新聞』朝日新聞社、2023年6月22日。2024年10月19日閲覧。
- ^ 「女子児童3人、川でおぼれ死亡 夏休み初日 福岡県の犬鳴川」『朝日新聞』朝日新聞社、2023年7月21日。2025年3月2日閲覧。
- ^ 「水泳帽にセンサー、AIで映像解析…プール事故防止に「機械の目」」『朝日新聞』朝日新聞社、2023年6月17日。2025年2月22日閲覧。
- ^ 「「生死分ける」溺れる前兆をAIで検知 水難救命経験、開発者の挑戦」『毎日新聞』毎日新聞社、2024年7月6日。2025年2月22日閲覧。
- ^ “【ニュースリリース】溺水をセンサで検知して自動通報 ~電通大がライフセーバーの飯沼誠司氏と実証実験~│電気通信大学”. www.uec.ac.jp. 2025年2月22日閲覧。
外部リンク
- 水難事故マップ - 1万件のデータから見えた事故集中エリア - プレミアムA:朝日新聞デジタル - 海や川のレジャー事故発生地点と、朝日新聞が分析して分かった集中エリアを示す全国地図
- 水の事故のページへのリンク