気象庁に依る降水確率の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/08 19:10 UTC 版)
「降水確率」の記事における「気象庁に依る降水確率の定義」の解説
例:「降水確率30%」と予測される場合の過去の降水量の統計例降水量1 0.1mm 2 0.0mm 3 4.8mm 4 0.3mm 5 0.0mm 6 1.2mm 7 0.0mm 8 2.4mm 9 0.9mm 10 0.5mm 以上より、今回1mm以上の雨が降る確率は30%となる。これと同様、0回なら降水確率が0%、8回なら80%という風になり、降水量の大小とは関連性が薄いことが分かる。ただしこれは極端な例で、予報精度の向上により、降水量0.1~1.0mmの「グレーゾーン」を減らすことが可能であり、実際はこれよりも精度が高いと考えられる。 降水確率は、予報区内で一定の時間内に1mm以上の雨または雪(融けたときの降水量に換算する)が降る確率であり、0%から100%まで10%刻みの値で発表される。予報区内であれば場所については特定せず、どこでも同じ確率である。なお、1980年代前半頃までは0%と10%の間に「5%未満」という値が発表されていたことがある。 原則として、降水確率の大小は降水量の多い少ないとは全く関係がなく、降水確率と予測される降水量は比例していない。また、雨が降る時間の長さ、雨の時間的・空間的な分布とも、同じように関連性は薄い。 このため、降水量を降水確率から読み取ろうとすると不正確になる。降水量の予測は「雨量予報」、例えば降水短時間予報などとして発表される。 降水確率は、過去に同じような気象状況となった際の降水の情報をもとに、統計処理により確率を算出する。つまり、いわゆる「経験則」に基づく。具体的には、降水確率ガイダンス(PoP)というガイダンスモデルを用いて予報を行う。PoPでは、アメダス・気象台観測値や全体的な気圧配置等の過去の記録をパターン化した資料をあらかじめ作成していて、これに直近の観測値を入力することで、予報の出力を得る。出力されるのは、格子点ごとの確率値であり、これより各予報区域内での平均値を求めると、予報区域内での一定時間内の「降水確率」が算出される。 予報の性質上、例えば、1つの予報区域に多数の観測点がある場合は、全地点で1mm以上の雨が降った場合を「雨が降った」と考える。降らなかった地点がある場合は、降った地点数÷全地点数×100(%)の的中率ということになる。 算出の際、1%の位は四捨五入するため、現在は「降水確率0%」といっても実際には0から5%未満の値になっている(以前は関東地方や東海地方など一部の地域で5%未満という数値が存在したこともあったが、現在は10%単位となっている)。4%だと0%になり、5%だと10%になるため、1%違うだけで大きな差が出てしまうのも特徴である。 降水確率は、統計的な資料に近いものであり、事例ごとに考えれば当たる場合と当たらない場合が必ず出てくる。一方で、長い目で見れば当たる場合が多くなり、結果的に利益が大きくなる(後述)。つまり、降水確率は、1回の予報による成果の可否よりも、多数の予報の成果を総合的に判断して可否を考える種類の天気予報である。 例として、「○○県のX月X日12:00~18:00の降水確率が30%」と発表された場合、X月X日12:00~18:00に1mm以上の雨が降る確率値の、○○県内を格子状にブロック化した各ブロック内の平均値が、約30%(25~34%)であることを意味する。 単純には、降水確率30%の予報が出た場合、統計的には100回に30回の割合で雨が降る、と考えてもよい。 降水確率が0%でも1mm以上の雨が降った事例と降水確率100%でも雨が降らなかった事例はどちらも存在する。そのため、予報が0%でも雨が絶対に降らないことを保証しているわけではなく、100%の場合も必ず雨が降ることを保証していない。
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