残骸の分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 16:18 UTC 版)
「クーガー・ヘリコプターズ91便墜落事故」の記事における「残骸の分析」の解説
回収された残骸にはチタン製のスタッドが含まれており、TSBはこれをギアボックスのオイルフィルター・アセンブリだと判断した。このスタッドに関して機体の製造会社のシコルスキー・エアクラフトは推奨事項を発行していた。これは、2008年8月にオーストラリアで発生した緊急着陸を受けてのもので、スタッドを1年または飛行時間1,250時間を目安に交換するよう推奨していた。3月21日、連邦航空局(FAA)のLes Dorrはアメリカで登録されているS-92のスタッドを交換するよう耐空性改善指令(英語版)を出した。FAAは以前にもギアボックスに関する耐空性改善指令を出していた。 3月23日、シコルスキーは交換用のスタッドをS-92を保有する航空会社に配布し、91機のうち50機で交換が完了したと発表した。FAAは交換が完了していないS-92の飛行を停止し、追加の緊急耐空性改善指令を出した。 3月26日、TSBは会見で油圧の喪失はスタッドの破損が原因である可能性が高いと述べた。最後の瞬間、91便は毎分1,000フィート (300 m)の降下率で海面に激突した。また分析から、墜落時には20gが生じたことが判明した。 S-92は、2003年に潤滑油の喪失を想定したテストで不合格だった。その後、潤滑油の流失が起きやすいオイルクーラーの設計を見直し、テストをクリアした。このとき、潤滑油の喪失が起きる可能性は約1,000万飛行時間に1回と計算されたが、これは全ての流失がオイルクーラーから起きるという仮定に基づいていた。オーストラリアでの事故や91便の事故では潤滑油の流失はオイルクーラーで生じたものではなかった。 2009年6月16日、FAAは追加の耐空性改善指令を発行した。潤滑油の喪失によりメイン・ギアボックスが故障した際の緊急手順を明確にするようシコルスキーに求めた。 2009年6月18日、TSBは中間報告を発表した。調査から、パイロットが不時着水を行おうとしていた可能性があることが判明した。墜落時、メインローターは回転していたが、テールローターはギアが大きく損傷していたため停止していた。高度500フィート (150 m)でメインローターは停止されていたが、緊急浮揚装置(英語版)は正常に機能しなかった。 2009年10月23日、欧州航空安全機関は北海で運用されるS-92のメイン・ギアボックスの取り付けボルトに亀裂が生じていたことを受け、耐空性改善指令を発行した。 2011年2月9日、TSBは最終報告書を発行した。報告書では、墜落原因として16個の要因が挙げられた。
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