権限と義務
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 01:57 UTC 版)
事務総長の役割は提唱者・外交官・公務員・最高経営責任者(CEO)のそれぞれの機能と責任を組み合わせたものと説明されている。国際連合憲章では事務総長を国際連合の「最高行政責任者」(chief administrative officer)に指定し、事務総長に他の国際連合機関から委託された機能を実行することを認めている。国際連合憲章は事務総長に対し、国際平和と安全の維持を脅かす可能性があるとの見解を示すあらゆる事項を安全保障理事会に報告する権限を与えている。これらの規定は事務総長が自らの選択・技能・状況に応じて様々な役割を果たすことができるよう、事務総長に対して幅広い自由度を与えていると解釈されている。 事務総長の日常的な職務には以下のものなどがある。 事務局の活動と職務を監督すること 国際連合機関の会合に出席すること 世界の指導者・政府高官・その他の利害関係者と協議すること 世界各地を飛び回って世界の有権者と関わり、特定の国際問題に注意を喚起すること。 また、事務総長は国際連合の活動に関する年次報告書を発行する。年次報告書には国際連合の活動の評価と今後の優先事項の概要が含まれている。事務総長は国際連合システム事務局長調整委員会(CEB)の議長を務める。これは全ての国際連合基金・プログラム・専門機関の代表で構成される年2回の会合で、国際連合機関が直面している実質的・管理的な問題について議論する。 事務総長の権限の多くは、国際連合憲章などの成文法に無い非公式のものであり、事務総長個人の解釈に委ねられている。歴代の事務総長の中には活動的な役割を選択した者もいれば、技術的・管理的な役割を選択した者もいる。事務総長はしばしば、加盟国間の紛争や問題の調停(good office)を行う。事務総長が行う調停は「国際紛争の発生・エスカレート・拡大を防ぐために独立性・公平性・誠実性を活かして、公私に渡って行われる措置」である。その結果として事務総長は「世界で最も目に見えるすばらしい講壇(英語版)」や「世界の司会者」などと表現されてきた。例としては、中東戦争の休戦を推進したダグ・ハマーショルド、イラン・イラク戦争の停戦交渉を行ったハビエル・ペレス=デ=クエヤル、キューバ危機の緩和におけるウ・タントの役割などが挙げられる。
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