構造と形成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 10:55 UTC 版)
バイロプラズマは、感染した細胞核の周辺や細胞質に局在し、感染サイクルの初期に形成される。バイロプラズマの数や大きさは、ウイルス種、ウイルス分離株、宿主種、および感染の段階によって異なる。たとえば、ミミウイルスのバイロプラズマは、その宿主であるアメーバのアカントアメーバ(Acanthamoeba polyphaga)の核と同様の大きさである。 ウイルスの複製サイクルの段階に応じて、ウイルスは、宿主細胞の細胞骨格や膜区画に対して、その組成や組織の変化をもたらすことがある。このプロセスには、ウイルスと宿主細胞との因子間における多くの複雑な相互作用とシグナル伝達事象が関与している。 バイロプラズマは感染の初期に形成される。多くの場合、ウイルス感染時に引き起こされた細胞の再編成により、細胞内に洗練された封入体 - バイロプラズマ - が構築され、ここで「工場」が組み立てられることになる。バイロプラズマの内部には、複製に必要なレプリカーゼ酵素、ウイルスの遺伝物質、宿主タンパク質などの成分が集中しており、複製の効率を高めている。同時に、大量のリボソーム、タンパク質合成成分、タンパク質フォールディングのシャペロン、ミトコンドリアなどが動員される。膜成分の一部はウイルスの複製に使用され、別の一部はウイルスがエンベロープ化されるときにウイルスエンベロープを生成するために改変される。ウイルスの複製や、タンパク質の合成、およびウイルスの組み立てには相当量のエネルギーが必要で、バイロプラズマの周辺にあるミトコンドリアの大規模なクラスターによって供給される。そのウイルス工場は、粗面小胞体に由来する膜または細胞骨格要素によって囲まれることがよく見られる。 動物細胞では、微小管形成中心(MTOC)付近で、毒性のあるタンパク質やミスフォールドしたタンパク質の微小管依存型凝集によってウイルス粒子が集められるため、動物ウイルスのバイロプラズマは一般にMTOC付近に局在する。植物細胞ではMTOCは見られない。植物ウイルスは、膜構造の再編成を誘発してバイロプラズマを形成する。これは主に植物RNAウイルスで見られる。
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