株式会社飯盛研究所の設立
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「飯盛里安」の記事における「株式会社飯盛研究所の設立」の解説
やがて物になりそうになったところで、業者に研磨してもらい、いろいろの人の意見を聞き、段々に人に知られる様になった。この発明は特許「装飾石の合成製造法」および関連実用新案は「注目発明」「優秀発明」の表彰を受けた。新聞、TV、週刊誌にも取り上げられるようになったので、1962年6月人造宝石の製造販売を目的とする株式会社飯盛研究所を設立し、商業規模の生産を始めた。 発足当時に製造販売したのは、表に示すとおり、メタヒスイ、15色のビクトリア・ストンのほか、トルコ石、何種類かの透明石などであった。事業の進展とともに製品数もだんだん増やしていった。公表されているものとしてはサンダイア (ダイアモンドの模造品)、チェリーストン (ピンク色のビクトリア・ストン)、γ-ジルコン、アイリスジャスパー、サン-トルコ石がある。このうちγ-ジルコンは自然光下では淡桃色、蛍光灯下では淡黄緑色を呈する (変色効果)。これ等飯盛研究所で作られた人造宝石類は IL-ストンと総称される (IL はIimori Laboratoryの略称)。 飯盛研究所初期の製品原石名色略号原石名色略号ビクトリア・ストン 緑色 VG メタヒスイ 緑色 HG 〃 空色 VSB ブルーヒスイ 空色 HB 〃 ピンク褐色 VPR IL-トルコ石 淡青色 TL 〃 若草色 VYG 〃 青色 TM 〃 青緑色 VBG 〃 濃青色 TD 〃 群青色 VSI 〃 明濃青色 JTB 〃 褐色 VCR IL-オリビン 淡オリーブ緑 OVS 〃 紺黒色 VIL 〃 濃オリーブ緑 OVD 〃 白色 VW IL-ブルージルコン 淡青色 ZB 〃 鶯色 VQG IL-藤色ジルコン 藤色 ZLP 〃 芥子色 VQY IL-ロードジルコン ピンク色 ZRh 〃 暗青色 VQB IL-ブルースピネル 濃青色 SPB 〃 灰色 VQL IL-ガーネット 暗赤色 GN 〃 黒色 VLD IL-アメシスト 青紫色 AP ビクトリア・ストンC 金緑色 KS 〃 赤紫色 AR - - - IL-エメラルド 緑色 EB - - - 〃 濃緑色 ED - - - IL-トーパツ 橙色 TPL - - - 〃 濃橙色 TPD - - - IL-サファイア 紫紺色 SAP 1969年アメリカの宝石業界誌 Lapidary Journal へ紹介記事を投稿したところ、各国から反応があり、国内よりむしろ海外からの需要が大きくなった。北米向けには主に原石のまま輸出され、研磨した石も北米、東南アジア方面に輸出された。日本国内では見た目はどうでも天然石でなければ喜ばれなかった。これについて、飯盛は日本人が美しさを解さないことへの嘆きとも受け取れる言葉を述べている。 1982年飯盛の没後も事業は続けられ1990年始め頃まで製造されていたが、会社は解散され、現在ではこの製造技術は途切れてしまった。 オーストラリアのジョン・ベネット (John Bennet) は知人の化学者で地質学者のアルトゥール・ビルクナー (Artur Birkner) の協力を得て、2019年にビクトリア・ストンの再現に成功し、スターバーストストン (Starburst stone) と命名して販売を始めた。
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