松崎天民とは? わかりやすく解説

松崎天民

読み方まつざき てんみん

文筆家。名は市郎岡山県生。生れながらにして文才富み大阪新報振出しに、大阪朝日国民東京朝日中央等各新聞記者務める。三五才の時『淪落の女』を発表読書界に新生面を拓き、抒情的名文謳われた。また食通として知られ雑誌食道楽』を経営著書に『青い靴と赤い恋』『明治大正実話全集』等がある。昭和9年(1934)歿、57才。

松崎天民

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/28 13:44 UTC 版)

松崎 天民
誕生 松崎 市郎
1878年5月18日
岡山県真庭市真庭郡落合町
死没 (1934-07-22) 1934年7月22日(56歳没)
職業 ジャーナリスト
小説家
評論家
言語 日本語
国籍 日本
ジャンル 小説風俗料理
文学活動 都市風俗
代表作 『淪落の女』
親族 滝善三郎
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松崎 天民(まつざき てんみん、1878年5月18日 - 1934年7月22日)は、日本の作家新聞記者

都市風俗、特にアンダーグランドの探訪を得意とし、『淪落の女』『銀座』などを著した。神戸事件滝善三郎は祖母の弟[1]

略歴

岡山県真庭市真庭郡落合町)生まれ。名は市郎。15歳で母親を亡くす[2]

学歴は小学校4年修業であるが、生来、文才があり、1900年、大阪新報をふりだしに、大阪朝日新聞、上京して国民新聞東京朝日新聞、毎夕新聞、都新聞二六新聞中央新聞などで27年間の新聞記者生活をすごした。一方、35歳(1912年)のとき、浅草区千束町の私娼窟(いわゆる十二階下)をテーマにした『淪落の女』を著し、その叙情的名文で読者を酔わせた。

1928年からは雑誌『食道楽』を発行した。料理ジャーナリストのほとんど最初のひとでもある。料理ジャーナリストは松崎以前の先駆者として村井弦斎、松崎以後、本山荻舟などがあらわれた。

浪曲を好み[3]、自身でも巧みに演じることができた[4]

1934年(昭和9年)に56歳で死去。

著作

多くの作品が近代デジタルライブラリーで公開されている。

  • 新聞記者修行(有楽社、1910年)
  • 東京の女(隆文館、1910年)
  • 甲州見聞記(磯部甲陽堂、1912年)
  • 淪落の女(磯部甲陽堂、1912年)
  • 女八人(磯部甲陽堂、1913年)
  • 同棲十三年(磯部甲陽堂、1914年)
  • 万年筆 社会観察(磯部甲陽堂、1914年)
  • 青い酒と赤い恋(磯部甲陽堂、1915年)
  • 恋と名と金と(弘学館、1915年)
  • 人間世間(磯部甲陽堂、1915年)
  • 犯罪哀話(佐藤出版部、1916年)
  • 漂泊の男 流転の女(弘学館、1916年)
  • 運命の影に(磯部甲陽堂、1917年)
  • 温泉巡礼記(磯部甲陽堂、1918年)
  • 歓楽の底より(磯部甲陽堂、1918年)
  • 女人崇拝(精禾堂、1920年)
  • 闇路を辿る女(常磐堂書店、1923年)
  • 人間秘話 記者懺悔(新作社、1924年)
  • 諧謔四十男の悩み(近代文芸社、1924年)
  • 銀座(銀ぶらガイド社、1927年)
  • 人間見物(騒人社書局、1927年)
  • 旅行気分山水行脚(三水社、1928年)
  • 裏面暗面実話(「明治大正実話全集」第12巻、平凡社、1929年)
  • 都新聞論(「綜合ヂャーナリズム講座」第4巻所収、内外社、1931年)
  • 三都喰べある記(誠文堂、1932年)

音源

  • 浪花節漫談(上)(下)(オデオンレコード、1931年1月、U-2168)[5] 

文献

  • 後藤正人『松崎天民の半生涯と探訪記 友愛と正義の社会部記者』(和泉選書、2006年)
  • 坪内祐三『探訪記者松崎天民』(筑摩書房、2011年)

その他

岡山県鏡野町奥津温泉に歌碑がある。亡くなる前年に詠んだもの。[1]

奥津湯の情あつきに一夜寝て雪に明けたる今朝のよろしき

脚注

  1. ^ 自著『運命の影に』p1、磯部甲陽堂、1917
  2. ^ 友人一家の死 松崎天民『四十男の悩み』一九二八[昭和三]年、有宏社
  3. ^ 松崎天民”. 吉備路文学館. 2018年8月2日閲覧。
  4. ^ 戸板康二「林芙美子の母性本能」『泣きどころ人物誌』文藝春秋、1987年、243頁。ISBN 4-16-729207-6 
  5. ^ オデオンレコード”. 78MUSIC. 2018年7月30日閲覧。

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