東日本大震災の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 04:42 UTC 版)
2011年3月11日発生した東日本大震災では、東北地方を中心に死者15,891人(行方不明者2,579人)を出したが、津波による死者など海岸線での遺体捜索や収容作業が難航、同時に被災地の火葬場は小規模なものが多く、停電、燃料不足、火葬場自体の津波被害で機能が停止し、多くの遺体が遠方の火葬場へ送られた。 しかし火葬は遅れ、公衆衛生上保全が困難な遺体は2年を期限に宮城県の約2,000体が土葬による仮埋葬された。火葬の進捗により、その後仮埋葬は中止され、一旦は埋葬された遺体も掘り返され再納棺の後、火葬されたが、この作業は盛夏の8月半ばまで続いた。 しかし現代日本で使用される棺は、火葬に適すように軽く燃えやすい構造となっているため、1mより深く埋葬される土の重みや湿気に耐えられず、掘り起こされた棺は既に崩壊状態であり、遺体は腐敗が激しい状態であったため、この腐敗した遺体を洗浄し再納棺する過酷な作業となった。この作業を行ったのは葬祭業者や建設業者などであった。 それまで、東北は火葬化が遅れていたころから、土葬に親和性がある地域と考えられていたが、ようやく火葬された際には「火葬できた」と喜んで泣く遺族の姿もみられた。しかし、同じ避難所にまだ行方不明の家族を抱えている人たちも多くいたため、避難所内では火葬できたことの喜びや、遺体が発見されたことの喜びの感情を表出できずにいる者が多かった。 新たに火葬場の整備運営事業基本計画を立案しているところでは、災害に強い施設づくりを基本方針に掲げ、災害時においても、施設稼働が可能となる施設と火葬燃料・電力等の確保と備蓄などが検討されており、停電時でも火葬業務(火葬炉と火葬業務遂行のために最低限必要な設備)が可能な発電機設備の導入や、大規模災害時の対応として24時間稼働を考慮した計画を立案している自治体が存在する。
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