本館の世界遺産への登録
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 14:44 UTC 版)
「国立西洋美術館」の記事における「本館の世界遺産への登録」の解説
フランス政府は、世界遺産登録の前提となる暫定リストに、フランス国内にあるル・コルビュジエの作品・計13件を「ル・コルビュジエの建築と都市計画」(L’œuvre architecturale et urbaine de Le Corbusier)として登載していた。 この「ル・コルビュジエの建築と都市計画」の中に、ドイツやスイスなどにあるル・コルビュジエの作品と同様に、フランス政府が本館を加えて、ユネスコに推薦することを検討していることが、2007年7月28日に報道された。9月14日には、日本政府がフランス政府に協力する形で、ユネスコへ本館を推薦することを決定した。その後10月9日までに、ユネスコの暫定リストに登載され、2008年1月7日に日本政府の「世界遺産条約関係省庁連絡会議」で、世界遺産候補としてユネスコに推薦することが正式に決定された。最終的な推薦書は、2008年1月に、各国の推薦書を一括してフランス政府が提出した。 2009年(平成21年)6月27日に世界遺産委員会による審査が行われた結果、「情報照会」と評価され、登録は見送られた。2011年2月にフランス政府から追加情報を含む改訂推薦書がユネスコに提出されたが、同年5月28日にユネスコの諮問機関国際記念物遺跡会議(イコモス)による評価の結果、世界遺産への登録にふさわしくなく再推薦も不可とする「不記載」の勧告が行われた。しかし、同年6月に行われた第35回世界遺産委員会ではイコモスの評価よりも上位の、推薦書の根本的な改定などが求められるものの再推薦が認められる「記載延期」の評価を受け、その後、国際協議などの再推薦へ向けた活動が続けられた。 これまで、アントニ・ガウディの作品群のように、一人の建築家の建造物を一括してユネスコに申請した事例はあるが、世界7カ国に散在する計23件の建造物を、一括して申請するのは史上初となった。なお、世界遺産には、登録国と所在地が一致していないものがいくつかあるが、日本国内にある文化遺産を外国政府が推薦したのも史上初である。また、通常(日本では)遺産候補は地元自治体からの推薦を受けて、その推薦を文化審議会で審議するが、今回はフランス政府からの協力要請のため省略された。なお、本館は2007年12月21日、日本の重要文化財の指定を受けた。これは従来「築50年以上のものが対象」とされてきた、建造物の重要文化財指定の目安を超えた初のケースであり(築48年の時点での指定)、世界遺産登録のためには当該物件が所在国の法律によって保護されていることが前提であるため、急遽重要文化財に指定されたものである。 イコモスは2016年5月17日に、国立西洋美術館を含む7か国17資産で構成される「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献-」を世界文化遺産に登録するよう勧告し、7月17日に第40回世界遺産委員会において正式に登録された。
※この「本館の世界遺産への登録」の解説は、「国立西洋美術館」の解説の一部です。
「本館の世界遺産への登録」を含む「国立西洋美術館」の記事については、「国立西洋美術館」の概要を参照ください。
- 本館の世界遺産への登録のページへのリンク