木材と構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 00:40 UTC 版)
「ギブソン・レスポール」の記事における「木材と構造」の解説
スタンダード・モデルは、ボディのバックにマホガニー、トップにハード・ロック・メイプル(別名イースタン・メイプル)という2種類の木材を貼り合わせた独特の構造を持つ。メイプル材1/2インチ(12.5mm)とマホガニー材1+3/4インチ(44.5mm)の厚みのバランスはサステイン持続量から決定された。開発途中では更なるサステインを求めたレス・ポールより厚さのバランスを逆にする意見も出たが、重すぎるという理由でギブソン社に却下された。一方、ネックはマホガニーワンピースを基本としながら、材料歩留まりを考慮してヘッド部両端は別ピースが接着されている(通称「耳貼り」)。1976年からの再発モデルにはメイプルネックも一時期存在した。カスタム・モデルやジュニアモデルはマホガニーボディである。初期のゴールドトップモデルでは、表面のメイプル材はランダムな幅の2〜3ピースであったが、1958年のサンバースト塗装の適用に当たりバイオリン属のボディ裏面に見られるようなブックマッチの2ピースとされた。 ブックマッチを採用するためにはゴールドトップモデルの倍の厚さのメイプル素材が必要となる。それまでは1/2インチ厚に仕上げるために5/8インチ厚の素材を使用していたため、その倍ならば5/4インチという、当時の製材規格外れの厚さになってしまった。これに近い規格製材厚は床材等に使用される4/4インチであったが、切り開き鋸引き代やその後のカンナ代を考慮すると厚さ不足となる。妥協しなかったギブソン社であったが、製材の引き受け業者が中々見つからず、材料入手の困難に直面することとなった。このため、細々としか入荷しないメイプル材はカットロスを極力抑制する必要があり、さまざまな工夫がなされた(ただしメイプル材自体が貴重になった現在とは異なり、5/4インチ厚の板材が入手困難なだけであった点に留意されたい)。 一例として、切り開いた片側の板材のみがシミ、割れ等で不適であった場合でも残った片側の板を保管しておき、色合いが似た材(カラーマッチと呼ばれる)または、木目が似た材(パターンマッチと呼ばれる)を選別して組み合わせて使用された。クレームになりやすい(人間が認識しやすい)のは色の違いであるため、カラーマッチの方が優先された。また、ブックマッチの場合には、切り開いた材を組み合わせる関係上、片側が木表、片側が木裏となるが(木裏の方が若干くすんだ色味になる)、カラーマッチやパターンマッチの場合には、両方の材を木表で揃える(フリッチマッチ)ことも配慮されたため、ブックマッチ材ではない個体の材を総称してフリッチマッチと呼ぶことが多い。
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