朝鮮の族譜
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朝鮮半島の族譜(ぞくふ、チョクポ)は中国の族譜を範としてつくられたもので、朝鮮においては15世紀までさかのぼることができる。 1403年につくられた水原白氏の族譜が現存最古の族譜とされるが、この族譜は序文しか残っていない。両班たちの間に宗族概念が浸透し、祖先祭祀や相続の制度が定まっていく朝鮮王朝(李氏朝鮮)中期の16世紀以降に族譜の編纂が広く行われるようになった。火事に遭った場合、最初に持ち出すのは族譜といわれたほど重要な地位を占めるようになった。 朝鮮の親族集団には、姓と始祖・本貫を同じくする宗族集団があり、その中で有力な人物(著名な学者・政治家など)を派祖とする派と呼ばれるグループに分かれている。「族譜」には、25~30年ごとに派ごとに編纂される「派譜」と、宗族全体を収録した「大同譜」がある。 伝統的な族譜は、宗族の男性構成員について、生没年月日、経歴、配偶者などが記載される。配偶者は姓と本貫のみの記載であり、女子には本人の名が載せられずに夫と子の姓名・本貫が記される。 族譜は、近代戸籍制度とは異なる原理による編纂物であり、族譜に載せられる名と戸籍上の名が異なることもある。 韓洪九によると、朝鮮の族譜のうち数えて約40パーセントから50パーセントの姓氏は帰化人の姓氏である。同じく金光林によると、朝鮮の姓氏の半分は外国人起源であり、大半は中国人に起源に持つ。 岸本美緒と宮嶋博史によると、朝鮮の一族には、中国から帰化した帰化族が相当存在しており、代表的なものでは慶州偰氏・延安李氏・南陽洪氏・海州呉氏・安東張氏・豊川任氏・咸従魚氏・居昌愼氏・原州邊氏などであり、なかでも延安李氏・南陽洪氏・豊川任氏は、李氏朝鮮時代屈指の名家であり、これらの帰化族の朝鮮への移民時期は、伝承的な性格の場合と、移民時期・移民者が明確な場合とに分類でき、特に宋・元時代、なかでも元から支配されていた時代に移民しているが、しかし李氏朝鮮時代には見られなくなり、高麗時代までは移民を容易に受け入れていた極めて弛緩した社会であったという。 詳細は「朝鮮の外来帰化氏族」を参照
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