朝鮮の新派劇
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朝鮮には日韓併合条約締結直後の1910年代に流入して人気を集めた。初めて新派劇を導入した時は、言語だけ朝鮮語に変えて公演するだけで、日本の新派を直輸入した。したがって翻案台本を初めとして演劇のすべての要素が日本新派の要素をそのまま移植して来たのだった。 朝鮮での新派劇発展過程も、やはり日本の例に似て進んだ。初期には日本式軍事劇が多く、探偵劇を経て、結局最も大きな人気を呼んだのは、家庭悲劇を扱ったメロドラマ物だった。趙重桓(朝鮮語版)の『長恨夢』、李海朝(朝鮮語版)の『鳳仙花』が代表的とされる。朝鮮時代の伝来小説の中で家庭悲劇的要素を盛った『薔花紅蓮傳』、『謝氏南征記(朝鮮語版)』なども公演された。 新派劇には家父長制のような旧時代的要素が多かったので、近代的認識が本格化された1920年代には、改良新派という名前で変形され、1931年に劇芸術研究会(朝鮮語: 극예술 연구회)が創立され、新劇と確実に区分されるジャンルになった。新派劇も先進的な新劇の影響を受けて発展のための努力がなされた。 1935年、東洋劇場設立以後、体系的な公演体制を稼動しながら、商業的な成功で全盛期を迎えた。李瑞求(朝鮮語版)、朴珍(朝鮮語版)、宋影(朝鮮語版)、金健(朝鮮語版)、朴英鎬(朝鮮語版)、崔獨鵑(朝鮮語版)などが、新派劇専門作家で人気を集めた。素材は家庭悲劇と史劇が主潮を成した。この時期の代表作は、興行に大きく成功した林仙圭(朝鮮語版)の『愛にだまされ金に泣き(朝鮮語版)』であった。 朝鮮戦争前の1940年代後半まで公演されてから消滅した。朝鮮戦争後は、新派劇という自体は過去のものとなったが、新派劇がもっていた要素は、韓国映画や韓国ドラマなどに受け継がれ、韓流ドラマにつながっている。
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