旧石器から縄文へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 17:18 UTC 版)
日本列島の旧石器時代の人々は更新世の末まで、大型哺乳動物(ヘラジカ、ヤギュウ、オーロックス、ナウマンゾウ、オオツノシカなど。)や中・小型哺乳動物(ニホンジカ、イノシシ、アナグマ、ノウサギなど。)を狩猟対象としていた。大型哺乳動物は季節によって広範囲に移動を繰り返すので、それを追って旧石器時代人も遊動的なキャンプ生活を主体とする移動生活を繰り返してきた。移動生活の痕跡と見られるキル・サイトやブロック(遺物集中)、礫群、炭の粒子の集中する遺構(炭化物集中、炉)などは日本列島内で数千ヶ所も発見されている。竪穴住居などの施設を伴う旧石器時代の遺跡はほとんど発見されておらず、大阪府藤井寺市のはさみ山遺跡や神奈川県相模原市の田名向原遺跡・小保戸遺跡など、僅かである。 最終氷期の約2万年前の最盛期が過ぎると地球規模で温暖化に向かった。最後の氷期である晩氷期と呼ばれる約1万3000年前から1万年前の気候は、数百年で寒冷期と温暖期が入れ替わるほどで、急激な厳しい環境変化が短期間のうちに起こった。 それまでは、針葉樹林が列島を覆っていたが、西南日本から太平洋沿岸伝いに落葉広葉樹林が増加し拡がっていき、北海道を除いて列島の多くが落葉広葉樹林と照葉樹林で覆われた。コナラ亜属やブナ属、クリ属など堅果類が繁茂するようになった。北海道はツンドラが内陸中央部の山地まで後退し、亜寒帯針葉樹林が進出してきた。そして、日本海側と南部の渡島半島では、針葉樹と広葉樹の混合林が共存するようになる。また、温暖化による植生の変化は、マンモスやトナカイ、あるいはナウマンゾウやオオツノジカなどの大型哺乳動物の生息環境を悪化させ、約1万年前までには、日本列島からこれらの大型哺乳動物がほぼ絶滅してしまった。
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