日本美術史の扱う範囲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 06:21 UTC 版)
日本列島の地域で制作・享受された美術をその範囲とすると考えるのが一般的である。主に北海道に住み、特有の文化をもつアイヌの人々の美術や、現代の沖縄県に当たる琉球の美術については、いわゆる日本美術史とは別の文脈で論じられることがある。もっとも、20世紀以降の美術については、作者がもっぱら海外で制作していたり、国境を越えて幅広く活動していることが多く、上記の考え方は必ずしも妥当しない。 次に、ジャンルの面でどこまでを「美術史」で扱うかという点であるが、日本美術においては、絵画、彫刻と並んで工芸品の占める位置が非常に大きく、金工、漆工、染織、陶磁などの分野を抜きにして美術史を語ることは妥当でない。刀剣・武具も日本美術の伝統を考える上で軽視できない存在であり、「武士の魂」と称され神聖視されている刀剣はその外装や小道具のみならず、刀身自体が美的鑑賞の対象となっている。中国の場合と同様、「書」も重要なジャンルであり、「詩書画三絶」という言葉が示すように、水墨画などでは1つの作品に詩、書、絵画が表され、これらは不可分のものとして鑑賞された。この他、「日本美術史」という場合には、建築や庭園についても併せて論じるのが一般的である。 なお、近代以降については、写真、グラフィックアートなど、現代(第二次世界大戦以降)においては(日本に限った現象ではないが)、パフォーマンス、ハプニング、ビデオアート、ランドアート、コンセプチュアル・アートなど、様々な表現形態が「美術」の文脈で語られ、「美術」とそうでないものとの差異は次第にあいまいになってきている。
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