日本の地方裁判所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 04:58 UTC 版)
日本の地方裁判所は、原則的に訴訟の第一審を行う裁判所である。また、簡易裁判所の民事の判決に対する控訴事件の第二審、各種令状に関する手続きも行う。地裁と略される。組織としては、民事部と刑事部に分かれ、民事裁判、刑事裁判を担当している。また、総務課などの司法行政を担当する事務局がある。 さらに、民事部・刑事部は裁判官1人の単独制と裁判官3人の合議制に分かれ(裁判所法26条)、単独制のみを取り扱う裁判所の支部もある(合議制は、大規模な支部または本庁で取り扱う)。 いわゆる「裁判」としてイメージされるもの以外に、会社更生法、民事再生法、破産などに関する手続も行っている。 地方裁判所は、各都道府県庁所在地並びに函館市、旭川市及び釧路市の合計50ヶ所に本庁が設けられているほか、203ヶ所の支部が設けられており、本庁と支部を合計すると全国に253ヶ所存在する。支部を含めて管轄区域が決まっているが、重大事件の場合は本庁に変更される場合もある。なお、知的財産権のうち特許権、実用新案権、回路配置利用権、プログラム著作権に関する民事事件ついては、東京地方裁判所(福井県、岐阜県、三重県以東)、大阪地方裁判所(京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県以西)の専属管轄となり、商標権、意匠権、著作権などの民事事件についても、所定の管轄区域を外して、東京、大阪の各地方裁判所への訴訟提起が認められている。支部については平成2年3月まで甲号支部(合議体での裁判が可能で、本庁のみ事件を除くすべての裁判が可能)と乙号支部(単独裁判官で処理できる事件のみ)の区別があったが現在ではこの区分は廃止されている。行政事件及び民事控訴事件は、本庁が扱う。 刑事の公判手続、民事の口頭弁論は、公開が原則であり、希望する者は誰でも傍聴することが可能である。ただし、わいせつ事件等、被害者のプライバシーの擁護が重視される事件等の場合には、一定の制限が課せられる場合もある。傍聴においては、静粛を保つために、公判開始までに当該法廷の傍聴席に着席し、途中退廷等がないことが望まれるが、禁じられてはいないため、止むを得ない事情等がある場合はこの限りではない。また、社会的に耳目を集めた知名度の高い大きな事件等で、傍聴人が殺到することが予想される場合、先着順或いは抽選により傍聴券が交付されることもある。
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