日本の地理教育との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/13 13:47 UTC 版)
「アリソフの気候区分」の記事における「日本の地理教育との関係」の解説
日本の地理教育、特に高等学校の地理においてはケッペンの気候区分が気候分野の中心的な学習事項となっている。ただし、『高等学校学習指導要領』第2章第2節地理歴史の第6 地理Bでは気候に関連する部分について以下のように規定している。 「 ア 自然環境世界の地形,気候,植生などに関する諸事象を取り上げ,それらの分布や人間生活とのかかわりなどについて考察させるとともに,現代世界の環境問題を大観させる。 」 また、『学習指導要領解説』でも「自然地理学などの成果を踏まえて学習の内容と方法を工夫し」とあるのみである。すなわち、学習指導要領上はケッペンの気候区分はおろか気候区分すら扱わなければならない内容ではないのである。しかしながら現実には教科書の気候分野の記述はケッペンの気候区分が中心となり、大学入試にも出題されている。 こうした状況に対して、ケッペンの気候区分よりもアリソフの気候区分を使うべきという意見もある。現状では山川出版社発行の『地理用語集』によれば、2004年度に使用されていた高等学校地理歴史科の教科書『地理B』5冊のうち2冊がアリソフの名を掲載している。2008年発行の教科書も同様で帝国書院の『新詳地理B』では欄外に「ロシアの気候学者・アリソフは,大気現象を直接反映する気団の季節変化に着目した気候区分を行った。」と記載し、教育出版の『新地理B』では本文中で「前線帯の季節的移動に基づくアリソフの気候区分」と記述し、「自然の地域区分の例」としてアリソフの気候区分図を掲載しているがケッペンの気候区分が学習の中心であることはゆるぎない。 千葉県立柏中央高等学校の佐藤裕は、アリソフの気候区分を使った気候学習を雑誌『地理』において提案している。佐藤はケッペンの気候区分を使った学習では始めから気候・植生・土壌が関連付けられているため、1つのことから他を説明できないという問題を指摘しアリソフの気候区分の図で気候特性をつかみ吉良竜夫の生態気候区分図で植生・土壌の特性を把握して、農業と関連付けると良いとした。ただ、成因に深入りすると地理ではなく理科の内容に入ってしまうが佐藤は理科にならない程度で成因を考えることは良いことであり、必要である旨を述べている。
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