日本における裁判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 09:52 UTC 版)
花王株式会社は1981年出願(昭56-057149)の登録商標1604461号で「KAO」を登録し、この商標の連合商標としてココアを含む飲料商品における商標「KAO」を1987年8月20日に出願し、1990年1月30日に登録された(登録 2204125号)。 一方、ヌトレスパ社は既に1978年8月16日に同分野(飲料)における登録商標「コラカオ」と「COLA CAO」を出願していたが、審査に落ち続けていた。これは原材料がコーラであってもココア飲料にコーラという名前が用いられているためCOLAがどこまで商品名の一部として使用されるか、つまり品質表示の部分 (COLA) と名前の部分 (CAO) が分離し、COLAを省略してCAOだけが用いられる可能性はないか、CAOはKAO(カオー、カオウ、花王)との混乱を生じるのではないか、という懸案があったためである。 1991年にヌトレスパ社は、類似名であるとしてCOLA CAOの商標登録が遅れている原因の源であるKAOが先に審査を終え、登録許可されているのは商標法第8条「類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があつたときは最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる」などに反するとして、KAOの商標登録無効審判(平成3年1991年審判第7111号)を請求した。 審判は1996年1月5日にくだったが、既に1993年8月31日に「コラカオ」と「COLA CAO」がともに商標登録されており(登録 2564360号)、また特許庁審判官はコラとカオはひとまとまりで「コラカオ」と称されるのが普通であるため、KAO(カオー、カオウ、花王)とは混同しないという見解により、KAOの登録無効を認めなかった。 同年、ヌトレスパ社は特許庁がコラカオの呼称の認定を誤って登録が遅れた(コラカオの方が先に申請されていた)のであるから、特許庁の審決(KAOの登録無効却下)を不服として取り消す訴えを東京高等裁判所にて起こした。高等裁判所はCOLAとCAOの間にスペースが存在する以上CAOという呼称が生まれる可能性があること、また品質を表示する部分 (COLA) と分離してCAOが一人歩きする可能性があることは否めず、特許庁の審査姿勢、審判は正当であるとした。しかしカタカナのコラカオは間が均等に空いており、COLA CAOのアルファベット表記もCAOだけを強調するものではなく、またコラカオもCOLA CAOも短く発音が容易な名称であるため、実際COLA CAOがCAOと呼ばれる可能性は低く、KAOとの混乱はないという特許庁の審判内容も認めている。そしてCOLA CAOとKAOとは別物であって混乱しない(別物と認められたためCOLA CAOの登録許可が下りた)のであるから、COLA CAOとKAOが類似している(混乱する)ためにKAOの商標を無効にすべきという請求理由は存在しない、とした。よって1997年7月9日高等裁は、ヌトレスパ社の申し立てには理由がないとして棄却した(平成8年1996年(行ケ)第71号)。
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