日本における襲名
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 17:53 UTC 版)
かつての武家や農家・商家では、家督を継ぎ新たな家長となった者が、先代あるいは父方祖先の個人名を襲名し改名する習慣が広くあった(祖名相続)。これは、世代がかわっても家業、家職の連続性、職能水準の保持の内外への表明という意味があり、その家が獲得した社会的信用、顧客や仕入れ先や同業者などからの評価に応じ、社会的期待を裏切ることのない家業、家職を保持する努力が後継者には要求された。 江戸時代の百姓は、苗字の公称が禁じられていたため、字に代表される通称を家の固有の名前、すなわち先祖相伝の家名とし、代替りの際に父から嫡男へと相続することによって、代々同じ名前を名乗り続けた。江戸時代の慣習を集成した「全国民事慣例類集」によると、襲名は、家督相続が伴って行われ、公儀へ差し出す帳簿において、代々その家を代表する名である「公儀名」つまり「其家の通名(称)」に改めるのが通例であった。そのとき前戸主が健在の場合は、隠居し改名することになるが、戸主は代々変わっても名は変えないことになる。実印もまた代々同じ品を用いるものとされた。 歴史的には、当時の経済的な先進地帯であった近畿地方などでは、14世紀後半から15世紀にはすでに襲名が行われていた記録が残っている。
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