日本におけるトライスター(全日本空輸のみ運航)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 09:56 UTC 版)
「ロッキード L-1011 トライスター」の記事における「日本におけるトライスター(全日本空輸のみ運航)」の解説
日本では全日本空輸が同社初のワイドボディ旅客機として1974年から導入し、最盛期には21機保有した。この導入に際してロッキードから田中角栄首相(当時)に賄賂が、また全日本空輸からも複数の政治家に賄賂が贈られていたことがわかり(ロッキード事件)、この捜査の過程で全日本空輸と政財界の癒着、疑獄事件が発覚した。 トライスターの導入当初は時刻表に大きなマークが入れられたり、客室乗務員の制服を同機の導入と共に一新するなど、全日本空輸のフラグシップ機、幹線の主力機として活躍するかと考えられた。その後同社の最初の国際線定期運航用機材に起用され、グアムや香港などの近距離路線に投入された他、現行のトリトンブルー塗装が初めて採用される(JA8514)など脚光を浴びることもあったが、同社にその後に納入されたボーイング747SRと比べて輸送量と航続距離の面で、1980年代に納入された双発のボーイング767と比べて経済性、さらに空港(特に地方空港)での発着制限を受ける点(滑走路長が2500m以上必要)で劣り同社では次第に活躍範囲が狭まり、さらに1990年代に入るとボーイング747SRほどではないものの双発でありながら輸送量と航続距離、そして経済性や維持費等のあらゆる面においてトライスターよりも優れているボーイング777が導入されることとなり、同機に押し出される形で1995年に全機退役した(全日本空輸ではボーイング777は、トライスターが退役した翌月に初就航)。 なお、全日本空輸は初期型で航続距離の短い-1しか購入していないが、国内線、および短距離国際線しか運航していなかったことが幸いし、短い航続距離が問題になることはなかった。 トライスターを用いた全日本空輸の有償飛行は、1995年11月30日、機体番号:JA8509の機体で運行された鹿児島発羽田行626便で終了した。この機体は1986年3月3日の全日本空輸初の定期国際線成田-グアムの第一便に使用された機体であり、また、トライスター通算生産数100機目の機体でもあった。なお同機の退役により全日本空輸のフリートから三発エンジン旅客機は完全に姿を消すこととなったが、退役以降から2021年現在まで三発エンジン旅客機の導入は同社ではされておらず、また大手航空機メーカーでも三発エンジン旅客機の開発・製造は皆無であるため、全日本空輸では同機が事実上最後の三発エンジン旅客機そして唯一の三発ワイドボディジェット機となっている。
※この「日本におけるトライスター(全日本空輸のみ運航)」の解説は、「ロッキード L-1011 トライスター」の解説の一部です。
「日本におけるトライスター(全日本空輸のみ運航)」を含む「ロッキード L-1011 トライスター」の記事については、「ロッキード L-1011 トライスター」の概要を参照ください。
- 日本におけるトライスターのページへのリンク