新第三紀の気候と生物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 07:23 UTC 版)
新第三紀は約2300万年前に始まったが、次の第四紀との境界は議論が多く、現在のところ約258万8千年前までとされている。新第三紀には中新世と鮮新世がふくまれる。古第三紀に隆起し始めたアルプス山脈やヒマラヤ山脈が新第三紀には高山となった。特に雨量の多いヒマラヤ山脈では激しい浸食が起こって大量のカルシウム塩が海に供給され、このカルシウム塩が効果的に二酸化炭素を吸収したため大気中の二酸化炭素量が史上最低のレベルまで低下した。前時代の漸新世に南極に氷床ができたが、約1200万年前から更に寒冷化が進行し約350万年前には北半球にも氷冠が形成された。 新第三紀の前半の中新世には、現代の哺乳類のほぼすべてのグループが出現した。また種の数や個体数も現在よりも多かったとみなされている。海中ではクジラ類からイルカ類が生まれ、樹上生活の真猿類の中から類人猿が現れた。偶蹄類の適応放散が進みイノシシ、ラクダ、シカ、ウシ、キリンがオーストラリアと南アメリカを除く世界中に広がった。長鼻類のマストドンも現在のゾウの分布よりはるかに広い範囲に生息した。食肉類はイヌ、ネコ、イタチ、クマがそろった他、アシカ、アザラシ、セイウチなどが生まれた。この真獣類の繁栄は新第三紀後半の鮮新世にも続き、ほぼ現在見られる動物と同じタイプの生物がそろった。約350万年前にパナマ地峡ができて、それまで他の大陸から離れていた南アメリカ大陸と北アメリカ大陸がつながった。それまで南アメリカで繁栄していた有袋類はオポッサムを例外として北アメリカからやってきた真獣類との生存競争に負けて姿を消していった。 植物界では約700万年前に新しい光合成システムを持つ植物が現れた。光合成はシアノバクテリア以来カルビン回路と呼ばれる合成方法が唯一のものであったが、低濃度の二酸化炭素を効率よく利用できるC4型光合成を有するトウモロコシやサトウキビが生まれた。 食肉類のサーベルタイガースミロドン、体長約2m 南アメリカに生息していた有袋類のティラコレオ、体長1.2-1.7m、パナマ地峡を渡ってきたスミロドンとの生存競争に敗れて滅んだ。 中新世のウマw:Anchitheriumの足と蹄、指の数が3本から1本に減ってゆく状況がわかる。 中新世の長鼻類ゴンフォテリウム、上顎と下顎の両方に牙があった。化石はアジア・アフリカ・ヨーロッパ・北アメリカから見つかっている。
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