新富士火山の活動
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新富士火山の噴火では、溶岩流・火砕流・スコリア・火山灰・山体崩壊・側火山の噴火などの諸現象が発生しており、「噴火のデパート」と呼ばれている。大別すると山頂噴火では爆発的な噴火と成り、山腹割れ目噴火では溶岩流を噴出させる。また、岩屑なだれ、山体崩壊、火山泥流も生じている。 新富士火山旧期 (富士宮期) 紀元前1万5000年頃から紀元前6000年頃まで 山頂噴火と山腹噴火。断続的に大量の玄武岩質溶岩を噴出。流動性が良く遠くまで流れる傾向がある。この時期に噴火した溶岩は最大40kmも流れており、南側に流下した溶岩は駿河湾に達している。 紀元前9700年頃(約11,700年前)、三島溶岩流。紀元前6500年頃(約8,500年前)、山梨県大月市まで流れた猿橋溶岩。紀元前6000年頃(約8,000年前)、馬伏川岩屑なだれ。 新富士火山旧期 (須走-a期) 紀元前6000年頃から紀元前3600年頃まで 富士黒土層を形成。須走-a期は活動が低調であったと考えられており、富士宮期以前を古期富士火山、須走-a期以降を新期富士火山とする考えもある。 新富士火山中期 (須走-b期) 紀元前3600年頃から紀元前1500年頃まで 現在の円錐状の山体を形成。ほとんどが玄武岩からなる。 新富士火山旧新期前半 (須走-c期) 紀元前1500年頃から紀元前300年頃まで 噴火様式が「山頂・山腹からの溶岩流出」から「山頂山腹での爆発噴火」に移行した。紀元前1300年頃の噴火で大室山と片蓋山が形成。紀元前900年頃、御殿場岩屑なだれが発生。 新富士火山旧新期前半 (須走-d期) 紀元前300年頃から現在まで 新富士火山の火山灰は黒色が多い。新富士火山の噴火は地層的にも新しく、また8世紀以後には日本の古文書に富士山の活動が記載されており、噴火について貴重なデータを提供しているが、噴出源および年代が明らかになっていない溶岩流も多くある。しかし成果もあり、2001年から2003年に行われたスコリア丘のトレンチ調査によれば、9世紀の貞観噴火では割れ目噴火が多く発生し、山頂を挟み南北両山腹で溶岩を噴出し溶岩流を流下させていた。 諸説あるが、古記録によれば新富士火山の噴火は781年以後16回記録されている。噴火は平安時代に多く、800年から1083年までの間に10回程度、1511年等に噴火や火映等の活動があったことが、複数の古文書の分析や地質調査から明かとなっている。一方、文書によっては、1560年頃、1627年、1700年に噴火活動があったとされているが、信頼性は低い。また噴火の合間には平穏な期間が数百年続くこともあり、例えば1083年から1511年まで400年以上噴火の記録がないが、記録文書が散逸し残されていないだけで、噴火活動自体がなかったとは断言できない。実際に、1435年から1436年には火炎が見えたとの記録が残る。
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