文学における歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 09:26 UTC 版)
カットアップ技法の先例は1920年代のダダイスムの集まりで生まれた。そこでトリスタン・ツァラは新聞記事から切り出した言葉を袋の中に入れ、ランダムに取り出した言葉を使って詩を作ることを実践したツァラは、その手法について「帽子の中の言葉」という記事を書いている。 ジル・J・ヴォルマン(英語版)は自身のレトリスムの創作の一環としてこの技法を発展させた。1950年代には画家・著作家のブライオン・ガイシンが偶然の発見から完全なカットアップ技法まで発展させた。ガイシンは剃刀の刃で新聞を切る時、テーブルが傷つかないように新聞を重ねて置いた。作業が終わった時、ガイシンは下に敷いていた新聞が興味深い並置状態になっていることに気づいた。そこで故意に新聞の記事を切り分け、ランダムに並べ、出来上がったのが『Minutes to Go』という詩である。未編集・未変更のカットアップは論理的で意味の通った散文となっていた。南アフリカの詩人シンクレア・ベイルス(英語版)もカットアップ技法を使い、『Minutes a Go』の共著者でもあった。アルゼンチンの小説家フリオ・コルタサルも『石蹴り遊び(wikidata)』の中でカットアップ技法を使った。 ガイシンはビート・ホテルでカットアップ技法をウィリアム・S・バロウズに紹介した。二人は後にカットアップ技法を印刷されたメディアやオーディオ・レコーディングに応用した。素材の中に潜在的に含まれている内容や仮説は、カットアップのような技法でテキストの真の意味が見い出し得るかもしれないと考え、それを解読する努力をした。さらにバロウズはカットアップ技法は占いの語り口に効果的かもしれないと示唆した。「諸君が現在をカットした時、未来(の秘密)が漏れてくる」。バロウズはさらにフォールドイン技法も発展させた。 バロウズはプロト=カットアップ作品として、T・S・エリオットの長詩『荒地』(1922年)やジョン・ドス・パソスの作品を挙げている。1977年、バロウズとガイシンはカットアップ作品ならびにその形式に関するエッセイを集めた『The Third Mind(英語版)』を出版した。
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