文化アパートメントの建設
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/01/11 00:09 UTC 版)
「財団法人文化普及会」の記事における「文化アパートメントの建設」の解説
(文化普及会発行「文化アパートメントの生活」より) 一 日本初めてのアパートメント・ハウス 殆んど毎日起る火災や盗難を免かれたにせよ、僅か二三十年で住まはれなくなつたり、少なからぬ手数のかゝる日本在来の住宅は不経済極まるものであります,たとへ一時の建築費は幾分高価であつても、現代設備を有する永久的建物であるアパートメント・ハウスは結局最も経済的のものであります、然るに我国にアパートメントとして知られて居るのは、多くはテネメント・ハウス(貧民長屋)に類するもので,ほんとうのアパートメント・ハウスはまだ知られて居りません、それで、我国初めての試みとして文化アパートメントが忙しく活動する人達の為めに建設されたのであります。 二 建設の理由 消費も一種の経済行為である以上,それを合理化して生活を充実させるには,やはり生産と同様に,機械力と合同力を利用しなければなりますまい。そして経済進歩のこの原則を日常生活に充分適用するには、アパートメント式の住宅が基本とならねばなりません、若し不合理極まる我住宅を能率の高い生活に適応するものに改めなければ、食物、衣服、社交等の改善を徹底的に行ふ事が非常に困難であるのはいふまでもないことであります。 幸に我国に於ても今日進歩的生活を送って、一人で普通二三人分の働きをしようとする文化の開拓者が少なくありません、が不幸にして未だその人達の生活にふさはしい現代的住宅の備へがありませんので止むを得ず不完全な家に住ふことになります、するとその人達の活動はいつのまにか鈍り、薪取の気性も次第に消失するといふ幾多の実例を見て甚だ遺憾に思ふのであります。 文化アパートメントはかゝる人達の為に建設されたものであります。従て活動的精神を缺いて奢侈生活に耽り多くの召使にかしづかれたり、刑務所のやうに高壁で囲まれた自分の庭園を他排的に楽しんで得意がるやうな人々には、この種の住宅は勿論不適当であります。 尚我国に相当の期間滞在せんとする外国人で住宅難に悩むものが甚だ多いのですから、その人達の為にもこの文化アパートメントの一部を開放して、国際的にも役立てるのであります。 昭和4年2月10日発行 文化アパートメントの生活(財団法人文化普及會) 森本厚吉 編より
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