文化の要素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 02:02 UTC 版)
カロリン諸島のプルワット環礁では伝承の神聖な「イタン」の文脈において、パンノキ(「poi」)は知識を語る存在である。この伝承は戦争、魔法や会合、航海術や「パンの実」の5つに分類される。 神話学によるとハワイの宗教に現れるパンノキは戦争神クー Kū の犠牲から生じたという。クーは農民として密かに人里で生きようとを決めたのちに結婚し、子どもを授かり家族ができる。幸せな家族の暮らしを島に広まった飢きんが襲い、クーは飢えに苦しむ子どもたちの姿を見るのに耐えられなくなると、妻にきっと自分が飢えから救い出すと約束する。ただし、そのためには家族を捨てなければならないと告げられても妻は仕方なく同意するほかはなく、妻がわかったと言ったとたん、クーの体は地中に沈み始め、とうとう頭のてっぺんしか見えなくなる。家族は最後にクーがいた場所で夜も昼もなく待ち、流した涙で地面を濡らし続けると、突然、クーが立っていた場所に小さな緑の芽が吹く。芽はすくすくと育つと、たちまち立派な木に育ち、たわわに結んだ実をクーの家族も隣人も感謝して食べ、飢えから救われて大いに喜んだ。 太平洋全域に広く分布するパンノキだが、多くの交雑種や栽培種は無核 (種なし) か、もしくは生物学的に遠隔地に自然に分散はできない。したがって先史時代に人間が太平洋、特に太平洋諸島に植民した集団がパンノキの分布域拡大をもたらしたことは明らかである。太平洋全域の人間の移動のパターンを調査する研究者たちは西から東への人口移動説を立て、パンノキの交雑種と栽培種の分子年代を測定して人類学的データと照合したところ、メラネシアのラピタ人がポリネシアの多数の島々へ渡ったとする仮説を裏付ける結果を得たという。 植物学者のダイアン・ラゴンは20年以上にわたり太平洋の50の島々を調査し、パンノキの世界最大の標本園を作り上げた。マウイ島(ハワイ州)の人里離れた東海岸にハナという集落があり、その郊外の面積10-エーカー (40,000 m2) の用地に集めてある。
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