教育界への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 11:33 UTC 版)
18歳の健常時から計5回に亘ってセンター試験を受験し、中途障害を抱える身となってからは脳機能障害を根拠とした教育の支援の必要性をメディアや教育学会やシンポジウムなどで主張した。 学習障害を専門とする一般社団法人日本LD学会の理事長で大学入試センター特任教授の上野一彦(東京学芸大学 名誉教授)は自身のブログ「カズ先生のEdu Blog」において、大学入試センターに特任教授として勤め始め小林が脳機能障害に対する特別措置を具体的に考えるきっかけとなった最初のケースであったこと、東京大学先端科学技術研究センターの教授(人間支援工学)であった中邑賢龍の元で詳細なデータを添えて申請してきたことを評価し、センター内でのかなりハードな議論の末に日本で最初の脳機能障害による措置を認めた、と述べた。 小林の事例を前例として大学入試センター試験では翌年の2011年から障害者が特別措置を受けられる対象者の中に脳機能障害者も含まれ、どのような配慮を認めるかについては個別のやりとりを行うと試験要項に記述したことが東京大学で行われたDO-ITJapan2010のクロージングセレモニー前のシンポジウムでUstream中継を通して発表された。障害者の特別措置に関し、多くの私立大学や国公立大学の二次試験では「大学入試センターの措置に準ずる」としていたため、他の試験現場でも脳機能障害を抱えた者への配慮が認められるようになった。また、初等教育や中等教育において大学入試で認可されていない配慮は学生の将来を考慮した場合に不適切としていたが、ICTの利用などを教育の現場で検討する動きが広まった。 その後も小林の事例が上野自身の障害理解の原点でもあったことをブログで述べたり、「君がこうした人たち(潜在的に見えない障害を抱えている学生たち)の道を切り開くきっかけになった」と直接話すなど、シンポジウムなどを通じ交流が続いている。また全国障害学生支援センター代表の殿岡翼は、「障害者差別解消法の施行(2016年度)に伴い大学入試が変わっていくなかで(小林は)歴史に名を残した」と語っている。
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