救援連絡センターとは? わかりやすく解説

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救援連絡センター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/01 05:12 UTC 版)

救援連絡センター(きゅうえんれんらくセンター)は、主に「被逮捕者の救援を通じ、公権力による弾圧に反対する」という活動目標を掲げる日本人権団体である。1969年に既存の日本国民救援会に対抗して、主として新左翼労働運動市民運動関係の被逮捕者の救援を目的に結成されたが[1][2]、現在はその救援対象領域も拡大している[3]


注釈

  1. ^ 山際永三は正式名称に「連絡」を入れるよう提案した理由を『救援』1997年11月号で、「水戸〔巌〕さんに対してだったか他の人に対してだったか私は、『救援センター』ではなく、あくまでも、『救援連絡センター』にすべきだと意見を言ったことがあったと思う。私の考えとしてセンターは、あくまでも全国の中心になってはならず、単なる連絡機関にこそなるべきだということから、その提案をしたのである。」と記している[6]
  2. ^ 国鉄千葉動力車労働組合葉顧問弁護団長、三里塚芝山連合空港反対同盟北原派顧問弁護団事務局長。
  3. ^ 法政大学大原社会問題研究所のWEBサイトで、救援連絡センターの名称、電話番号が入った「保安処分・刑法改悪 阻止」メッセージシールの写真[8]を閲覧できる。
  4. ^ 「共謀罪新設反対 国際共同署名」は、署名の集約先として救援連絡センターを指定している[1]
  5. ^ 日本弁護士連合会は、1993年の国連国際人権(自由権)規約委員会で審議された日本政府の第3回定期報告書に対する『日弁連カウンターレポート : 問われる日本の人権』こうち書房(発売 桐書房)[10]の「国際人権〈自由権〉規約の日本における実施状況に関する報告【その1】」の「第7 被拘禁者の処遇〔7条及び10条〕」節で、救援連絡センターが1987年から1988年にかけて獄中の医療状況についてアンケートを実施したことを紹介している。
  6. ^ ジャマルさんを支援する会 (Free Jamal Campaign) ホームページの「ジャマルさんを支援する会の経過」[11]は、救援連絡センターから「多大な支援を受けています」と記し、その様子を報告している。
  7. ^ 刑事訴訟法203条第1項は、「司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨 及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは 直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは 被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に 書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。」と定め、同第3項に「司法警察員は、第一項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨 及びその申出先を教示しなければならない。」と定める。また、検察官の場合についても同法204条、205条に同様に定める。
  8. ^ 刑事訴訟法第39条第1項は、「身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により 弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と 立会人なくして接見し、又は書類 若しくは物の授受をすることができる。」と定める。
  9. ^ 救援連絡センターWEBサイトの「黙秘とは」[12]が、黙秘の理念・意義を簡潔に説明している。さらに詳細には『救援ノート』を参照。
  10. ^ こうしたケースでは国家賠償法に基づき、捜査機関の公権力の行使を違法として、国に対して損害賠償を請求する。
  11. ^ たとえば平成12年6月13日最高裁第三小法廷判決(平成7(オ)105 損害賠償請求事件)[14]は、デモに参加し東京都公安条例違反容疑で逮捕された被疑者が「救援連絡センターに登録された弁護士を選任する」と述べたにもかかわらず、弁護人の接見が妨害され、警察が初回の接見日時を逮捕の翌日に指定した事例である。この判決で最高裁判所は、築地警察署の課長が弁護人の職務を妨害したと認定、課長の行為は刑事訴訟法に違反し国家賠償法1条1項にいう違法な行為に該当するとして、国に対して損害賠償を命じた[15]。こうした明白な防御権の妨害があった場合にはその後ほとんどの事例で原告側が国に対して勝訴しており、日弁連が「接見妨害国賠訴訟全国一覧表」を公表している[16]。また、「接見交通権」の項目に挙げられている柳沼八郎や若松芳也の関連文献も参照せよ。
  12. ^ 救援連絡センターWEBサイトの「職務質問対策」[17]が職務質問(職質)時の手ほどき、心構え、職質の根拠となる法令の条文を示している。近年の職務質問の増加に対抗するため、防御手段がWEBページに掲載された。職質に関して『救援ノート』第7改訂版(2001年)には記述があまりなかったが、第8改訂版では、パソコンの押収問題などとともに加筆された。救援連絡センターが作成・配布しているフライヤー「職務質問を拒否します。」[18]も参照。
  13. ^ センター設立の1969年に「安保を斗う婦人連絡会」を編者として『救援ノート』初版が発行されている[19]
  14. ^ 救援連絡センターWEBサイト「救援ノートを読もう!」のサッコ・バンゼッティ事件イラスト

出典

  1. ^ センターについて”. 救援連絡センター. 2014年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月11日閲覧。
  2. ^ 山田 真 (2012年5月20日). “第8回定期総会講演 「福島を切り捨ててはならない」 山田 真(小児科医)”. 救援連絡センター. 2002年9月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月11日閲覧。
  3. ^ 東京弁護士会人権賞受賞者決定 : 受賞者紹介 : 救援連絡センター”. 東京弁護士会 (2006年12月5日). 2007年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月11日閲覧。
  4. ^ 「こちら特報部/運動引っ張った核物理学者 故水戸巌さん 妻・喜世子さん いま声あげる/曲げなかった反原発/夫の遺志 伝えねば」『東京新聞』、2012年9月18日。
  5. ^ 第24回国会 衆議院予算委員会第12号(1956年2月24日)PDF) - 国会会議録検索システム
  6. ^ a b 山際永三 (1997年). “センター設立30周年に向けて : 月刊『救援』連載記事”. 2023年3月10日閲覧。 ※『救援』連載記事(1997年11月号 - 1998年1月号)をWEB公開している。
  7. ^ 山中幸男 (2010年10月8日). “救援連絡センター 山中幸男 救援連絡センターの歴史”. Police110ban(人権110番). YouTube. 2023年3月10日閲覧。千代丸健二によるインタビュー動画。
  8. ^ 所蔵現物資料一覧: シール 救援連絡センター「保安処分・刑法改悪阻止」(春日正次郎所蔵)”. 法政大学大原社会問題研究所 (2017年3月28日). 2023年3月11日閲覧。
  9. ^ 『救援』記事「今度こそ、共謀罪を最終的に葬り去ろう」(執筆: 石橋新一)
  10. ^ 日本弁護士連合会 (1993年8月). “日弁連カウンターレポート 問われる日本の人権(日本弁護士連合会 編著)”. 日本弁護士連合会. 2008年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月11日閲覧。 “被逮捕者に弁護士を紹介している団体(救援連絡センター)の獄中医療アンケート(1987年から1988年実施)によれば、「緊急の場合など無医村に住んでいるといってもいいくらい」「医師の数が少なすぎる」等の結果が報告されている。”
  11. ^ 伊藤一 (2005年4月10日). “ジャマルさんを支援する会の経過”. ジャマルさんを支援する会. 2006年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月11日閲覧。
  12. ^ 弾圧に抗して : 黙秘とは”. 救援連絡センター. 2009年12月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月11日閲覧。
  13. ^ 伊神喜弘「接見禁止の悪用」『愛知県弁護士会会報「SOPHIA」』第46巻第11号、愛知県弁護士会、2004年11月。 
  14. ^ 最高裁判所 第三小法廷判決 2000年6月13日 民集第54巻5号1635頁、平成7(オ)105、『損害賠償請求事件』、“被疑者の依頼により弁護人となろうとする者から被疑者の逮捕直後に初回の接見の申出を受けた捜査機関が接見の日時を翌日に指定した措置が国家賠償法一条一項にいう違法な行為に当たるとされた事例”。
  15. ^ 第2次内田国賠最高裁判決に対する会長声明”. 日本弁護士連合会 (2000年7月1日). 2023年3月11日閲覧。
  16. ^ 接見交通権の確立(接見交通権確立実行委員会)”. 日本弁護士連合会. 2023年3月10日閲覧。
  17. ^ 弾圧に抗して : 職務質問対策/職務質問には答える義務なし”. 救援連絡センター. 2008年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月11日閲覧。
  18. ^ 職務質問を拒否します。(救援連絡センター)” (pdf). IRREGULAR RHYTHM ASYLUM. 2007年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月11日閲覧。
  19. ^ 救援ノート (安保を斗う婦人連絡会 編)〔救援連絡センター、1969年9月28日発行〕”. 日本の古本屋. 2023年3月11日閲覧。
  20. ^ 救援ノート (第9改訂版、2011年3月10日発行)”. タコシェオンラインショップ. タコシェ (2011年). 2023年3月11日閲覧。
  21. ^ 救援ノート 逮捕される前に読んどく本 (新版、2018年4月発行)”. BiblioMania (2018年). 2023年3月11日閲覧。
  22. ^ 救援ノート[新版] 逮捕される前に読んどく本”. 模索舎. 2023年3月11日閲覧。
  23. ^ 新着入荷アイテム: ●救援ノート──逮捕される前に読んどく本 [第8改訂版]”. 模索舎. 2007年3月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月11日閲覧。
  24. ^ 第18回受賞発表会”. 多田謡子反権力人権基金. 多田謡子反権力人権基金運営委員会 (2006年12月16日). 2023年3月10日閲覧。
  25. ^ 東京新聞「今年で幕 第18回多田謡子反権力人権賞 救援連絡センターなど受賞」(2006年12月15日)
  26. ^ 東京弁護士会人権賞受賞者決定”. 東京弁護士会 (2006年12月5日). 2007年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月11日閲覧。(2007年1月10日、弁護士会館クレオにて授賞式)
  27. ^ 第21回東京弁護士会人権賞 受賞者インタビュー(3) 救援連絡センター」『LIBRA』第7巻第6号、東京弁護士会、2007年6月、14-15頁。 


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